2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780480
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
川口 俊明 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20551782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子育て / 社会階層 / 教育社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、九州地方の大都市であるA市の複数の小学校を対象に、保護者の社会階層と子育ての関連を明らかにしようとすることである。具体的には、A市内の校区の状況の異なる4つの小学校から、それぞれ複数の家庭を選び、(1)家庭での保護者と子どもの関わりに関する参与観察・インタビュー調査、(2)各学校のすべての保護者を対象としたアンケート調査、(3)学校での子どもの振る舞いに関する参与観察調査、以上の3つの調査を実施する。本研究は、こうした調査を通じ、日本の「教育格差」が生じるメカニズムを明らかにするとともに、「教育格差」を克服するための処方箋についても示唆を得ようとするものである。 平成26年度は、調査対象とする小学校・学年・保護者を選び、調査協力を得ることに専念した。その結果、A市の4小学校において、(1)および(3)の調査を実施することができた。調査対象とした学年は、4校の小学2年生(平成26年度時点)である。これは、教育格差を縮小する手立てを考えるためには、できるだけ小学校初期の段階の格差を捉えることが望ましいと考えたからである。 (1)家庭での保護者と子どもの関わりに関する参与観察・インタビュー調査においては、4校のうち3校ではそれぞれ2から4家庭の協力が得られ、各々2から3回程度の参与観察調査・インタビュー調査を実施した。また、(3)各学校での子どもの振る舞いに関する参与観察調査については、各小学校をそれぞれ4週間に1回程度の頻度で訪問し、当該学年の教室で半日から1日程度の参与観察を行った。その他、学校の情報を得るため、各学校の管理職・担任へのインタビューを年度末に実施している。 27・28年度は、個々の家庭・学校での調査をさらに進めるとともに、(2)各学校のすべての保護者を対象としたアンケート調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家庭での参与観察調査・インタビュー調査が、当初の目的よりやや遅れている。その理由は、社会的・経済的に恵まれた環境に立地する学校においては、保護者の協力が得られやすかったのに対して、課題を抱えやすい環境に立地する学校においては、調査が負担になる等の理由で調査協力が得られにくく、保護者とのアクセスも困難であったためである。調査協力が得られにくい学校については、27年度以降も調査協力を呼びかける範囲を増やすなどして、調査協力者を増やすことを優先していく予定である。 また、家庭調査の際には、女性の調査協力者に協力を求めていたが、26年度の後半に、彼女が育児休業に入ったため、家庭調査の実施にも遅れが生じている。この点については、調査協力者が調査に復帰できる環境が整い次第、27年度の後半の調査回数を増やすなどして対応したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の調査を引き継ぎ、(1)および(3)の調査を継続実施する。調査対象とする学年は、4校の小学3年生(平成27年度時点)である。具体的な調査内容としては、(1)家庭での参与観察・インタビュー調査については、4校の3から4家庭を対象に、各々2から3回程度の参与観察調査を実施する。(3)各学校での子どもの振る舞いに関する参与観察調査については、各小学校を4週間に1回の頻度で訪問し、当該学年の教室で参与観察を行う。また、学校の情報を得るため、各学校の管理職・担任へのインタビューを年度末に実施する予定である。 なお、27年度は、家庭の状況を把握するため、(2)各学校のすべての保護者を対象としたアンケート調査も実施する予定である。実施時期は各校との調整が必要だが、秋頃(9月から11月頃)を考えている。この結果は、A市で実施されている学力調査のデータと併せて、28年度に分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
主な要因は、謝金の支出が当初の予想より少なくなったためである。その原因は二つある。一つは、調査対象とする保護者が当初の予定より少なかったため、謝金の支払額が少なくなったためである。もう一つは、調査協力者が産休に入ったため、インタビューデータ等の文字起こしを依頼できず、謝金を支出する必要がなくなったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度調査で実施できなかった保護者調査については、27年度に実施する予定である。また、26年度調査で得られたインタビューデータの文字起こしも、27年度に実施し、謝金を支払う予定である。
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