2014 Fiscal Year Research-status Report
家庭科に対する「学習レリバンス」の構造と規定要因にみる男女共修家庭科の意義と課題
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26780493
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤田 智子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40610754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家庭科教育 / 学習レリバンス / 男女共修 / 男女共同参画社会 / 家事分担 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家庭科教育に対する「学習レリバンス」(学習にどのような意味や意義を感じているか)の構造と規定要因、さらに「学習レリバンス」と継続的な学習意欲との関連を明らかにし、家庭科男女共修の意義を改めて問うとともに、生徒にとって意義のある家庭科の授業に必要な要素を検討することを目的としている。「家族」に関する問題が増加する現代社会において、家庭生活について学ぶ家庭科教育の意義がどこにあるのか、家庭科教育の学習がその後の生活にどのように継続されているのかを明らかにする。 平成26年度は、先行研究を基に調査仮説をたてたうえでインタビュー調査を行った。調査対象は、男女共修家庭科を学んだ大学生で、調査人数は39名(女性27名、男性12名)である。所属は教育学部生21名(家庭科専攻10名、家庭科専攻以外11名)、その他の学部生18名である。 その結果、(1)学習そのものを面白いと感じる「現在的レリバンス」として、調理や裁縫が多く挙げられた。自分たちで自由にメニューやデザインを決められる場合、特に楽しかったと記憶されていた。(2)学習が将来役立つという感覚である「将来的レリバンス」としては、調理と簡単な裁縫技術が多く挙がった。(3)大学生の家事実践状況は、自宅か一人暮らしかで大きく異なった。高校までの家事の実践状況には、母親の就労形態よりも、役割として家事を割り当てられていたかが影響していた。(4)男女共修家庭科については、全員が肯定的な意見を述べた。家庭科が得意な男子は称賛の対象となっていた。(5)男子が家庭科を学ぶ必要性については、母親の大変さや結婚後の女性の仕事を理解するため、一人暮らしでも生きていくために必要と考えられていた。などが明らかになった。 これらの結果を基に、平成27年度は、学習レリバンスの構造と規定要因に関して分析モデルを構築し、質問紙調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、年度内にインタビュー調査を終え、分析に入ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の計画通り、平成27年度は、インタビューデータ分析結果を基に、学習レリバンスの構造と規定要因に関して分析モデルを構築する。それに基づいて質問紙を作成し、調査を行う。また、研究成果は、適宜学会等での発表及び学術雑誌への論文投稿準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査のテープ起こしデータの納品が、一部、予定より遅れたため、支払いが次年度の扱いになったものがあることと、学会参加にかかる費用に充てる予定であったが、手続き上、次年度での予算処理となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
テープ起こしデータは既に納品されており、その費用のほか、学会参加にかかる費用として使用する。 また、当初の予定通り、質問紙調査を行うための費用(含むデータ入力費)や消耗品、学会発表等の旅費や発表登録費および参加費等への使用を予定している。
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