2014 Fiscal Year Research-status Report
児童の話し方・聞き方スタイル及び学年に応じた音声言語指導・評価に関わる実証的研究
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26780495
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
梶井 芳明 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90723841)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小学校国語科教育 / 話すこと・聞くこと / 学習指導・評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,小学校国語科の「話すこと・聞くこと」の単元学習において,児童が,教師や他の児童らによる評価結果を自らの活動にどのように役立てるのかを,話し上手・下手×聞き上手・下手からなる「話し方・聞き方スタイル」,ならびに学年段階の視点から明らかにすることである。具体的には,研究代表者ら(梶井, 2012; 阿彦・梶井, 2012)が作成した,学習指導要領を反映させた指導・評価の観点(項目)を用いて,児童の能力および発達の実態に即した「話すこと・聞くこと」の指導・評価の方法について,学校教育実践に資する基礎的資料を提言することである。 今年度の研究の実施状況を,前半と後半に分けて,以下に記す。 前半は,研究代表者らが,小学校3年生と5年生を対象にそれぞれ実施した調査の結果に基づいて,「話し方・聞き方スタイル」の各スタイルに属する児童の,話し上手・聞き上手に至る能力の変容の様相を,児童の授業観ならびに教師の指導観と関連づけて考察し,その成果をポスター発表した(阿彦・梶井, 2014; 山崎・梶井, 2014)。 後半は,小学校国語科における「話すこと・聞くこと」の指導に関する研究の展望と,これまでに研究代表者らが実施した教育心理学研究の成果を,それぞれ論文と書籍にまとめた(山崎・梶井, 2015; 梶井, 2015)。また,平成27年度に本調査を実施する小学校に訪問し,研究の内容と協働体制(組織)について,確認と調整を行った。 今年度は,平成27年度の本調査実施に向けて,特に,研究背景の理論的な整理と,研究体制の物理的な整備を,入念に実施した。 これらのことから,本調査を計画通りに実施するための環境を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の主要な目的であった,「本調査実施のための,小学校国語科教育における実践研究を踏まえた課題の整理と,研究代表者らがこれまでに取り組んだ,本研究に関わる教育心理学研究の成果を,論文および書籍にまとめること。」を,達成することができた(山崎・梶井, 2015; 梶井, 2015)。 また,本調査で使用する,学習指導要領を反映させた指導・評価の観点・項目については,シンポジウムでの発表を通して,観点・項目の構成概念妥当性,ならびに内容的妥当性について,多くの研究者や教育実践家と意見を交わし,理論と実践の両側面から再検討することができた(梶井, 2014)。 これらのことから,本調査で使用する観点・項目を選定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校国語科の「話すこと・聞くこと」領域におけるスピーチ学習の単元を対象に,研究計画に沿った調査を順次実施する。 なお,調査実施校からの依頼を受け,調査対象は,スピーチ学習の開始学年である第3学年の,2つの学級の児童らに決定した。当初の計画では,1学級の児童らを想定していた。調査対象の規模が拡大したことにより,より高い信頼性・妥当性をもつ結果をまとめることが可能となった。 今年度と同様に,研究成果は,適宜ポスターや論文にまとめ,学会や大学紀要で発表,公表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,主に,以下の2点である。 1つは,研究計画の段階で予定していた,海外の学会へ参加しなかったためである。これは,助成金額が,予定していたヨーロッパ教授学習心理学会への参加にかかる費用としては十分でなく,参加を見送ったことが,主たる原因の1つである。 2つに,調査データの収集および分析,結果のまとめに必要な人件費・謝金として計上していた予算を使用しなかったためである。これは,予定していた予備調査の時期を,次年度に先送りしたことが,主たる原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外旅費として予定していた経費については,主に,国内での学会および研究会の旅費に充てることを計画している。 人件費は,次年度に,予備調査および本調査を実施することから,使途は確定している。また,調査実施校の依頼を受け,調査対象の規模を拡大したことから,調査データの収集および分析,結果のまとめに必要な,予定額を超えると想定される人件費・謝金に充てる。
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