2015 Fiscal Year Research-status Report
音楽的な感性に基づく思考・判断・表現の力を育成するカリキュラムの開発
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26780500
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
小山 英恵 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20713431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音楽科の授業 / 音楽的な感性に基づく思考・判断・表現 / エーレンフォルト / 音楽作品の了解 / 対話 / 仲介 / 自己内対話 / 自己形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の3つの研究を進めた。まず、昨年度の研究成果に基づいて音楽的な感性に基づく思考・判断・表現を育成する授業実践の示唆を得るべく、ドイツの音楽教育学者エーレンフォルト(K.H.Ehrenforth, 1929- )の主張する「音楽を聴くこと」の教育について明らかにした。エーレンフォルトは、現象学、解釈学を基に音楽の了解が音楽作品と聴き手の対話にあるとする。この対話を促すのが仲介(Vermittlung)である。仲介は方法的に計画されたプロセスだが、個々の音楽の了解への道をひらくことを目指す。対話を方向づけるのは、私と自己の実存的な自己内対話である。聴き手は、美的な知性と感情移入とともに、「この人(音楽)は私に何を伝えたいのだろうか」と問うことができる。その際、音楽の実態をとらえない専門用語(属七の和音等)や決まり文句(悲しく響く等)に陥るのではなく、「音楽は私たちに何を伝えるか」という問いのもとで、音楽を自己が生きた生活世界のなかに置かれることが重視される。聴き手と音楽の対話は、共に聴く音楽についての集団での対話へと導かれる。 また、日本の音楽科教育が直面する課題について、戦後音楽科の歴史的展開を追うことによって検討した。その結果、現在の音楽科における「思考力・判断力・表現力」である音楽の要素を「知覚」しそれが生み出す特質を「感受」することに焦点をあてるだけでなく、この世界で生き自己を形成していく子どもの生全体をふまえて音楽経験の深まりをとらえるというさらなる展望を見出した。 さらに、これらの研究成果をもとに、音楽的な感性に基づく思考・判断・表現の力を育成する鑑賞領域の授業についてのアクション・リサーチを開始し、目下継続中である。 以上の研究は、日本の音楽科の現状をふまえた、音楽的な感性に基づく思考・判断・表現の力を育成するための授業開発につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を進める過程において当初予定していたものとは若干異なる研究を盛りこむこととなった。しかしながら、昨年度の理論的な研究成果を基盤として、今年度の研究によって実践的な示唆につながる研究成果がみえてきている。このことは、カリキュラム開発という本研究課題の目的へ向かっての大きな前進といえる。その意味において、研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、音楽的な感性に基づく思考・判断・表現の力を育成するための具体的なカリキュラムの開発に向けて、理論、実践両面の文献研究をさらに進めるとともに、アクション・リサーチを継続していく予定である。あわせて、研究成果をまとめ、公表する作業を随時進めたい。
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Causes of Carryover |
購入依頼をしていた洋書が品切れのため、3月中旬にオーダーキャンセルとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究テーマに関連した音楽教育、教育、ドイツ哲学に関わる文献の購入にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)