2014 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーションを主軸とした保幼小中校種間連携カリキュラム開発研究
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26780502
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 国語単元学習 / 経験主義カリキュラム / 国語教育 / 文学教育 / 保幼小中校種間連携 / 倫理性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、哲学や現代思想の潮流における他者論に代表されるような倫理性に重きを置く目標論の展開と、そうしたコミュニケーション観に基づくカリキュラムの構築を、保幼小中校種間の連携の内に構想し、それぞれの学校種において実践的に検証することを目的とするものである。その際、従来、技能面、さらには論理的思考力を育成するための素地と位置づけられてきた倫理性こそを第一義とするカリキュラムの開発を目指している。 平成26年度は、コミュニケーション教育における倫理性を論究するために、国語科教育研究の「話すこと・聞くこと」の領域における理論研究のレビューと課題の抽出を行った。平成元年版の学習指導要領において「話すこと・聞くこと」が領域化されて以降の理論研究を検討した結果、論理性に関する理論研究においては、音声学、言語学、発達心理学、発話行為論等々の諸学問を学問的な背景として、理論研究を発展させてきた。一方、倫理性については、臨床哲学や臨床心理学が学問的な背景として想定されるものの、十分な議論がなされてきたとは言い難い現状にある。しかし、「書くこと」「読むこと」の領域においては、生活綴方教育や文学教育という形で、倫理性についての実践的な研究の積み重ねが確認できる。そこで、本研究では文学教育の授業実践を中心に、各学校種で蓄積された実践知を、国語教育の理論知によって新たに顕現化することを目指す。 そのために、保育所・幼稚園における経験主義カリキュラムと小・中学校における国語単元学習に着目し、それぞれの教育活動の内実を明らかにすることとした。当該年度においては、幼稚園における劇遊びの観察調査と、小学校における文学的文章教材の授業の実践データの収集、及び中学校における提案授業の仮実施と分析検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コミュニケーションの根幹となる倫理性の理論的解明に向けて、先行研究のレビューと課題の抽出を行った。その結果、研究全体における倫理性の位置付けが明らかにできた一方で、理論的究明自体は十分には行うことができなかった。 しかし、幼稚園・小学校におけるフィールド研究については、計画書上は次年度実施する予定のデータ収集を前倒しで実施することができた。小学校のフィールド研究においては、授業実践のビデオデータだけでなく、1年分の学習者のノートや学習成果物等々の質的データを収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に計画していた、コミュニケーション教育における倫理性の理論的な究明と、経験主義カリキュラムと国語単元学習の接合点を探るための理論的な解明をまずは進めていきたい。 また、小学校におけるフィールド研究が充実できた一方で、保育所、中学校におけるフィールド研究が十分に準備できていないため、迅速に行いたいと考える。さらに、研究フィールドとして、保幼連携、さらには保幼小連携を考えていく上で有益な保育現場と、小中連携を考えていく上で有益な中学校現場を新たに開拓していきたい。
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Causes of Carryover |
研究協力者である中学校教諭1名が産休に入ったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者が現場へ復帰次第、研究に必要な物品を購入し、貸与する予定である。また、研究フィールドとして、小学校との連携を視野に入れた上でより有益な中学校現場を新しく開拓していきたい。
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Research Products
(3 results)