2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780503
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
田村 にしき 東京福祉大学, 教育学部, 講師 (50613494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 謡 / 音楽教育 / 学習過程 / 地域研究 / 音声分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽科教育では、日本の伝統的な歌唱を通して、日本の伝統的な声、ことば、身体性を学ぶことが重視されてきている。本研究は、謡の学習プログラムに基づいた授業を継続的に実践することで、児童の声が響きのあるものに変わる過程と、謡を通した地域文化への愛着度の変化を検証することを目的とする。 平成26年度は、7月から11月まで、小学校4年生に「郷土の音楽」の単元の中で行う謡の検証授業(全4時間、2時間ずつ計2回)と、週1回行う朝の謡の稽古を継続的に実践し、以下のことを検証した。 第1に、児童の表情観察、発話の分析、ワークシートの記述の分析による、児童の表現の変化、曲のとらえ方の変化を検証した。第2に、検証授業の際、小学校4年生の男子2名、女子2名を抽出し、ワイヤレスマイクをつけて、レシーバーで受けた音声について、謡の練習の前後の声質を教材の同じ箇所で比較し、児童の声の変化の検証を行った。収録した音声の音響分析には、スペクトル分析とソナグラムを用いた。音声評価の指標としては、第1に、整数次倍音と非整数次倍音の強さの比較をし、息がもれる声の指標である非整数次倍音に比べて、整数次倍音がどのくらい強くなったかを調べた。第2に、3~4kHz付近にみられる、響きのある声がどのくらい増えたかに着目して分析を行った。この音響分析によって、学習を重ねるごとに、児童の声が息がもれてただ音程を合わせようとする声から、腹の底から出る響きのある声へと変化する過程を調べた。第3に、検証授業に参加した小学校4年生21名を対象に、半年間の謡の学習プログラムを行う前後に、アンケート調査を行った。具体的には、自尊感情測定尺度、学校適応感尺度、地域愛着度尺度を用いて、分析を行い、謡や地域文化に対する愛着度の変化を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、検証授業、アンケート調査、音声収録及び音声分析を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も、異なる学年で検証授業を実施してアンケート調査や音声分析を行い、データの信頼性を高める。特に、児童の声の変化を検証するための音響分析と、児童の謡や地域文化に対する愛着度の変化を検証するための分析を、統計分析の専門家の協力を得てより緻密に行い、データの信頼性を高める。
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Causes of Carryover |
当初は、平成26年度に、学習プログラムに基づいた検証授業とアンケート調査を行い、平成27年度にそのデータに基づいた音響分析や統計分析を行う予定だったが、音響分析を、平成26年度から授業と並行して行うことになり、分析するための音声処理ソフトウェアを購入する必要性が生じたため、20万円の前倒し請求をした。ソフトウェアを購入しても、1万円程度余り、次年度の旅費にあてるために繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、検証授業と学会発表のための旅費に20万円、謝金に5万円、物品6万円に使用する予定である。
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