2015 Fiscal Year Annual Research Report
道徳教科化に先駆けた効果的な教育プログラムの開発-役割取得能力による検討‐
Project/Area Number |
26780505
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
本間 優子 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 助教 (40410253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 役割取得能力 / 感情解釈能力 / 学校適応 / 児童 / 道徳教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、道徳教科化に向けた授業プログラムの作成にあたり、役割取得能力という観点から検討を行うことを目的とした。 研究1では、小学5,6年生を対象に役割取得能力 (規則および対人場面) とクラス内行動(授業不参加行動,規則遵守行動,他者配慮行動)および学校肯定感・回避感の関連について検討を行った。役割取得能力が学校適応に示す影響を明らかにするという本研究の目的を達成するため,パス解析により役割取得能力とクラス内行動,学校適応感に関する検討を行った。検討の結果,対人場面の役割取得能力が他者配慮行動に影響し,他者配慮行動が学校肯定感に影響を示すことが明らかとなった。得られた結果は,道徳授業において役割取得能力課題を用いてトレーニングを行うことで,児童の学校適応の改善に役立つことを示唆し,役割取得能力に関する課題を道徳授業に組み込むことの重要性を示したと言える。 研究2では小学3,4年生について,役割取得能力の下位能力である感情解釈能力(喜び、悲しみ、怒り)と役割取得能力(規則および対人場面),学校適応の関連について検討を行った。感情解釈能力と役割取得能力の関連では,「怒り」に対する感情解釈能力のみ、規則場面の役割取得能力の発達段階と有意差が認められ,「怒り」に対する感情理解を向上させることで,規則場面の役割取得能力の発達段階が向上することが示唆された。クラス内行動との関連は,喜び、悲しみの感情解釈能力と授業不参加行動,規則遵守行動に関連が認められた。小学3,4年生について学校適応を促進するには,役割取得能力の下位能力である,感情解釈能力に関する内容を道徳授業に組み込むことの重要性が示唆されたと言える。 一連の検討の結果,道徳授業プログラム作成にあたり,役割取得能力課題の重要性,下位の学年では,感情解釈能力を向上させる必要性が示唆された。このことは教育的に意義のある知見であると言える。
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