2014 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害学生のための音楽トレーニングにおける学習効果についての研究
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26780512
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 正樹 筑波大学, 図書館情報メディア系, 特任助教 (90714494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 聴覚障害者支援 / 聴能訓練 / 音楽ゲーム / 国際研究者交流(スウェーデン) |
Outline of Annual Research Achievements |
残存聴力を持つ聴覚障害学生を対象に,音楽トレーニングにより音聴取能力がどのように向上するか,その学習効果を明らかにすることを目指す.声,音楽,環境音などが混在する実生活において,場の雰囲気の把握や危険予測など会話以外の音でのコミュニケーションを可能にし,聴覚障害者の社会との関わりや就労の機会を広げることを期待するものである.トレーニングはタブレット端末で動く音楽ゲームによって実施され,積極的,継続的,娯楽的な使用を通して音聴取の基礎的能力向上を目指す. 平成26年度は音の時間変化や反復に注意しリズムの識別能力を高めることを目的とした音楽トレーニングシステムを実装し聴覚障害学生による聴取実験を行った.当初リズム識別能力に関しては平成27年度に行う予定であったが,予備調査の結果,音色識別能力よりもリズム識別能力の方が向上が見込めることから,平成26年度に予定していた楽器音識別トレーニングに先立って行った.リズム識別能力に関する音楽トレーニングはメロディや伴奏が同時になった音楽に対し,メロディやドラムのタイミングをタップして同定させるゲームである.同定すべき拍はタイムライン上に上から下に流れて可視化されており,ユーザは視覚情報を参考にしつつ,音楽を聴きながら拍をとる.歌付きの音楽を歌声や歌詞ばかり着目して聴くことが多い聴覚障害者に対して様々な周波数帯域の音をリズムで意識させることで,音聴取能力の向上を目指す.当該システムに関して短期的学習効果を検討する実験を開始した他,研究成果に関する対外発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体で計画している2つの聴能向上のための音楽トレーニングのうち1つの実装が終わり予備実験も終えている.本実験を開始しており,研究進度として概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
すでに作成したリズム識別能力向上の音楽トレーニングシステムの効果検証を継続的に行う.新規に楽器識別のための音楽トレーニングを実装するための予備調査を開始する予定である.
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