2015 Fiscal Year Research-status Report
視覚性ワーキングメモリを補う代替方略の分類に基づく学習支援プログラムの開発
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26780519
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
牛山 道雄 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90397836)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / 眼球運動 / 代替行動 / 視線移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1)研究倫理委員会主催の研修の受講,2)予備調査の学会発表を実施した。 1)については,近年研究倫理の尊守の重要性がますます高まってきており,学内研究倫理委員会主催の研修を受講した。 2)については,2015年5月21-22日にアメリカで開催されたIASSIDD AMERICAN REGIONAL CONGRESSにおいて「A trial on investigating the associations between visual working memory and eye movements of elementary school children in Japan」 という演題でポスター発表を行った。発表内容は,i)ワーキングメモリの容量(nback課題)を補う視線移行は認められなかったこと,ii)数列比較課題時の反応時間に注目するとワーキングメモリ課題の上位群と下位群との間に差が認められないこと,iii)その一方,数列の桁数が2桁条件では男女差は認められないが,8桁条件になると女児は男児よりも速く回答を完了すること,等であった。これらの結果は,ワーキングメモリの容量不足が視線移行の増加という代替行動に結びつかないということではなく,課題遂行中の児童の回答の様子から,測定課題の天井効果が排除しきれていないことによるものではないかと推察された。また,男女差が認められことから,情報処理の方略の違いも推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備調査の分析を終え,測定課題や測定システム上の問題点は修正をおこなったが,本調査の実施がずれ込んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校高学年の児童に本調査を実施し,視覚性ワーキングメモリの容量と視線移動という代替行動に関連性があるのかを定量的に検討する。 予備調査においては,これら2つの関連性が積極的に認められる結果は得られていない。これは研究計画では,これらの関連性が低い群が読み書きなど学習上の困難につながると想定していた。今後は逆に,学習上の困難等があるものが,視覚性ワーキングメモリの容量が少なく,かつ,視線移動を行わないのかということを確認していく必要があるのではないかと考えられる。
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Causes of Carryover |
本調査の実施がずれ込んでいるため,測定員補助への謝金分の経費を使用していないことによる。また,データのバックアップにかかる大容量ストレージの未購入による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本調査の測定補助員への謝金とする予定である。また,本調査測定時には,動画ファイルが蓄積していくため,バックアップ用の大容量ストレージを購入予定である。
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