2014 Fiscal Year Research-status Report
共同注意スキルの発達段階に応じた自閉症児への支援方法に関する研究
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26780520
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
狗巻 修司 佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (30708540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症児 / 指さし理解 / 相互交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施した研究の内容としては,1)療育施設における観察・実験の実施(自閉症児と発達遅滞児を対象とした保育者との相互交渉場面の観察と「指さし理解」に関する実験)と,2)先行研究の整理の2点である。 1)療育施設における観察・実験の実施:療育施設に通園する19名の幼児(自閉症児12名,発達遅滞児7名)と担当保育者による半構造的な場面における相互交渉場面の観察と「指さし理解」に関する実験を実施した。これまでの研究から他者との相互交渉場面において自閉症児者が他の障害児者にはない固有の障害を示すことが明らかにされている一方で,その障害にどのような発達的変化が見られるかについては十分に検討されていない。そのため,本研究では「指さし理解」という発達的な軸から相互交渉場面における障害を検討することで,自閉症児の相互交渉場面での発達的変化と必要となる支援を明らかにすることを目的としている。本年度の観察・実験により得られたデータを分析することで,自閉症幼児が示す障害特性が明らかになると予想される。また,次年度以降に実施する予定である縦断的な検討から,自閉症児の発達的変化を検討する予定である。このことから,本年度に実施した観察・実験は,自閉症児と発達遅滞児を比較することで得られる横断的検討だけでなく,次年度以降の自閉症児の発達的変化を縦断的に検討する際の基礎資料となると考えられる。 2)先行研究の整理:自閉症児の相互交渉場面における障害特性や,指さし理解・産出(共同注意スキル)に関する文献を,主に海外文献を中心に整理した。
以上の2点を中心に研究を進めており,得られた結果を分析し,自閉症児が示す障害特性と発達的変化を検討することで,早期の段階で必要となる支援のあり方について明らかにできると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己点検による評価の理由としては,1)当初計画していいた通り,自閉症児と発達遅滞児の相互交渉場面の観察と「指さし理解」実験を実施できたこと,2)文献の整理も順調に進んでいること,3)得られたデータを分析して学術論文を1編執筆したことがの3点が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目は計画通り,療育施設における観察・実験を引き続き実施することに加え,保育所での観察・実験にも取り組み,定型発達児のデータを加えることで自閉症児・発達遅滞児・定型発達児の3つの群の横断的な比較を実施する予定である。 本年度より所属が変更となったため,当初予定していた自閉症児・発達遅滞児の2群の縦断的検討が難しくなるが,本年度と次年度の2年間にわたり,療育施設での縦断的検討を実施する予定である。
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