2017 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害児の生活リズム評価法と現状改善型指導法の開発
Project/Area Number |
26780522
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
平野 晋吾 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (90571654)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 生活リズム / 睡眠-覚醒 / アセスメント法 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(以下ASDと略す)児の睡眠に関連する問題は器質的な障害特性の関与が推定されている。本研究はASDの特性を考慮した,生活リズム評価法,及び生活リズム改善支援法の開発を目的とした。本年度は,昨年度までに生活リズムの改善支援を行った生徒1名(A児)のフォローアップと共に,新たに1事例(B児)に対してアセスメントを実施した。 A児には半構造化面接を実施し,中学校進学後も生活リズムの乱れや遅刻がなく,自律的な登校行動ができていることが確認されたことから,長期的な支援効果が示唆された。 主に保護者から生活リズムに対する不安が示されたB児に対して,支援効果との関連が示唆されたアセスメントパッケージ(知能・発達検査,行動・学習・生活面の質問紙・睡眠日誌・アクチグラフ)を実施した。睡眠日誌とアクチグラフデータの自己相関分析を行った結果,両データともτ=24.0時間の自己相関係数にピーク値があり,生活リズムに大きな乱れは確認されなかった。しかしアクチグラフデータの自己相関係数ピーク値が低く(r = .08),就床から就寝までの時間(体動のなくなるまでの時間)が長いことが示された。以上の結果を視覚化した情報を保護者及び教員と共有することで,学校・保護者双方の意見を取り入れた支援方針の具体化が進むことが示唆された。 加えてASDの視覚刺激(支援者や教材)に対する認知的な特性を明らかにするための実験に基づく予備的検討を行った。その結果,視覚情報を獲得する運動過程や認知方略に特性があることが示され,教材づくりや指導法に対する示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,平成29年度に研究をまとめる予定であったが,所属研究機関を変更したため研究環境の整備等に時間を費やし,また,新たな環境において生活リズムデータの分析プログラムを再検討する必要性が生じ,年度内の完了が困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究テーマの最終年度に当たることから,事例検討を継続しながら,資料の集中的整理に精力的に取り組む。これまでの中間発表を含め,次の3点に力点を置きつつ総合的な整理を行う。 1.生活リズムの改善効果に基づくアセスメントの在り方,2.ASDの障害特性や主訴を考慮した指導法の在り方,3.睡眠-覚醒の客観的な生理心理学的指標の検討 成果公表は,学会等での発表,論文執筆,報告書作成とし,研究協力を得た機関や団体を中心にアセスメントと指導法に関する成果報告パッケージを配布する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では,平成29年度に研究をまとめる予定であったが,所属研究機関を変更したため研究環境の整備等に時間を費やし,また,新たな環境において生活リズムデータの分析プログラムを再検討する必要性が生じ,年度内の完了が困難となったため,1年間の延長を行う。繰り越した予算は,主に研究成果の発表及び公表に使用する。
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Research Products
(4 results)