2015 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極STMによる磁性ナノドットの磁化反転ダイナミクスの直接観測
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26790004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮町 俊生 東京大学, 物性研究所, 助教 (10437361)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 放射光分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fe4Nの組成比を持つ窒化鉄はバルクで室温強磁性を示し、元素戦略の観点から応用が期待されている。本研究はFe4Nナノ磁性体を作製し、その構造や電子・磁気状態を極低温走査トンネル顕微鏡(STM)や放射光X線吸収分光/X線磁気円二色性(XAS/XMCD)測定により原子スケールで解明することを目的とする。平成27年度はFe4Nナノ磁性体の電子・磁気状態の制御に重点的に取り組んだ。まず、Fe4Nナノ磁性体の構造、電子状態を極低温STMにより調べ、STM探針と試料間距離に依存してSTM形状像が変化することを明らかにし(電子軌道選択トンネル過程)、責任著者としてPhysical Review Letters誌に発表した。次に、Fe4Nナノ磁性体の磁気状態を調べるため、XAS/XMCD測定を行った。結果、薄膜形状では低温環境下(~100 K)では強い面内磁気異方性を示すことがわかった。一方、ナノ構造化するとサイズの減少に伴う磁気モーメントやキュリー温度の低下が観測された。さらに、成長条件の精密制御により原子欠陥密度を変化させてXAS/XMCD測定を行った結果、原子欠陥が磁気特性に多大な影響を与えることが明らかにした。得られた結果については8件招待講演を行い、現在論文投稿中である。最後に、Fe4Nナノ磁性体の磁気状態の制御を試みた。まず、Fe4Nナノ磁性体に強磁性(Co)および反強磁性(Cr)ナノドットを吸着させ、ナノドットとの相互作用の詳細をXAS/XMCD測定で調べた。結果、Fe4Nナノ磁性体はCo(Cr)ナノドットと強磁性的に(反強磁性的に)磁気結合し、磁気モーメントやキュリー温度の著しい増大(減少)が観測された。現在は、スピン偏極STMによる原子スケール磁気構造観察や、本年度導入した高い時間分解能を有するSTMコントローラーを用いた磁気ダイナミクスの実空間観測を行っている。
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] 鉄窒化物数原子層膜の磁性および電子状態2016
Author(s)
高橋文雄, 宮町俊生, Antonov Victor, 高木康多, 魚住まどか, 横山利彦, Ernst Arthur, 小森文夫
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学(宮城県・仙台市)
Year and Date
2016-03-22
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[Presentation] 鉄窒化物薄膜の構造と磁性2015
Author(s)
高橋文雄, 宮町俊生, 高木康多, 魚住まどか, 家永紘一郎, 河村紀一, Arthur Ernst, 横山利彦, 小森文夫
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
関西大学(大阪府・吹田市)
Year and Date
2015-09-19
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[Presentation] Formation of hexagonal Fe-N atomic layer on Cu (001)2015
Author(s)
K. Ienaga, Y. Takahashi, N. Kawamura, M. Yamada, T. Miyamachi, and F. Komori
Organizer
The 31st European Conference on Surface Science (ECOSS-31)
Place of Presentation
Centre de Convencions Internacional de Barcelona (CCIB), Barcelona, Spain
Year and Date
2015-09-02
Int'l Joint Research
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[Presentation] Inherent orbital-selective tunneling in a STM measurement2015
Author(s)
Y. Takahashi, K. Ienaga, N. Kawamura, T. Miyamachi, A. Ernst and F. Komori
Organizer
The 20th International Conference on Magnetism (ICM2015)
Place of Presentation
Palau de Congressos de Catalunya, Pl. Europa, L' Hospitalet del Llobregat, Barcelona, Spain
Year and Date
2015-07-10
Int'l Joint Research
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