2015 Fiscal Year Research-status Report
OTN-NIR蛍光量子ドットによる移植幹細胞の超高感度in vivoイメージング
Project/Area Number |
26790006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
湯川 博 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30634646)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子ドット / 応用光学 / ナノバイオ / 再生医学 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cdを含有しないため生体適合性が高く、1,000 nmを超える近赤外(OTN-NIR)領域で蛍光発光が可能な新規量子ドットの開発に取り組んでいる。我々は昨年度までに、Cdを含まない低毒性量子ドットの新規合成と幹細胞イメージングに取り組み、銀(Ag)、インジウム(In)、硫黄(S)を構成成分とし、これらをZnSで被覆した量子ドット(ZnS-ZAIS) に、スルホ基、カルボキシル基を導入した水溶性ZnS-ZAIS-SO3H、-COOHの開発に成功している。本年度は、昨年度に開発に成功したCdを含有しないため生体適合性が高く、1,000 nmを超える近赤外(OTN-NIR)領域で蛍光発光が可能な新規量子ドットであるZnS-ZAIS-COOHを用いて、移植幹細胞in vivo蛍光イメージングに取り組んだ。800 nm付近に蛍光を有する水溶性ZnS-ZAIS-COOHによりラベル化した幹細胞をマウスに移植した系において、移植後の幹細胞の生体内挙動に加え、集積する組織、臓器の観察を実現した。また、肝不全マウスと正常マウスにおいて、移植後の幹細胞の生体内挙動、集積・滞留時間に大きな違いがあることを明らかにした。更に、集積した組織・臓器である肺と肝臓に対して、多光子励起顕微鏡を用いることで組織・臓器内部の移植幹細胞の1細胞レベルでの観察にも成功し、移植幹細胞の集積状況に大きな違いがあることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、本年度までに計画していた1,000 nmを超えるOTN-NIR領域で高効率な蛍光を発し、ほとんどの量子ドットで含有されてきたカドミウム(Cd) を含まない、生体に対して極めて安全な材料(水溶性ZnS-ZAIS-COOH)の開発に成功している。また、800 nm付近で蛍光を発する水溶性ZnS-ZAIS-COOHによる高効率幹細胞ラベリング、移植幹細胞in vivoイメージングに成功している。これらの成果は、概ね当初の計画通りであり、次年度以降の瑕疵のない研究進捗に繋がると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
創製した新規OTN-NIR量子ドット(水溶性ZnS-ZAIS-COOH)を用いた移植幹細胞in vivo蛍光イメージング技術を肝臓以外の疾患を対象に更なる有用性の検討を進める。特に、再生医療で注目されている種々の対象組織(角膜内皮細胞(眼)、免疫細胞(血液)、膵島細胞(膵臓))に対して適応可能かを評価する。
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Causes of Carryover |
一部消耗品が安く購入できたことに加え、打ち合わせに必要な出張が不要になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vivoイメージングに必要な物品費に上乗せすることに加え、最終年度であるため、学会発表や学術論文などの成果創出を中心に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)