2015 Fiscal Year Research-status Report
サブミクロン半球レプリカを利用した異方的反射二色性媒体の基礎研究及び高機能化
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26790036
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| Research Institution | Doshisha University |
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Principal Investigator |
江本 顕雄 同志社大学, 理工学部, 准教授 (80509662)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | コロイド微粒子 / レプリカ / 二色性 / センサーチップ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「サブミクロン半球レプリカを利用した異方的反射二色性媒体の基礎研究及び高機能化」について、前年度に引き続いて基本的光学特性の調査を行った。
前年度までに、①サブミクロン球の直径を小さくすることで、二色性発現の起源である消失スペクトルに生じるピークを、短波長に設定できること。②これに伴って、短波長領域での吸収係数が小さい金属を半球構造にコートする必要があること。③両者を組み合わせることで、高感度物質センサーチップとして動作可能であること。以上の3点を明らかにしていた。
平成27年度は研究実施計画に記載の「構造制御と最適化」に関する研究を行った。具体的には、半球直径を400nm・500nm・600nmとし、それぞれの半球構造に延伸による異方性を加え、更に表面にコートする金属膜をAu・Agの二種類を検討した。これにより、基本となる構造周期・異方性・反射膜特性について、系統的な情報を得ることができた。これらの結果に基づき考察を行ったところ、可視波長域での顕著な異方的二色性の発現には、直径が500nmの半球構造を基本構造として、延伸による異方性を付与し、更にAgをコートすることが、有効であることが確認された。これにより、目的である、構造上の最適な要件に関する知見を得ることができた。
また、上記の調査に付随して、我々の研究対象である「サブミクロン半球レプリカ」の作製における熱処理プロセスを完全に排除することにも成功した。従来までは、レプリカ作製用のシリコーンゴム製モールド作製時に熱処理を行っていたが、これはオリジナル構造への熱ダメージが生じるため問題となっていた。そこで、新たに紫外線硬化型シリコーンを利用し、サブミクロンスケールへの適用における条件探索を行うことで、熱処理を排除することができた。これにより、材料選択や構造形成プロセス上の自由度を得ることができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に示す通り、我々の研究対象である「サブミクロン半球レプリカを利用した異方的二色性媒体」の光学的特性の全容が、系統的な調査によって、明らかになりつつある。特に、作製上の第一条件である基本周期の最適化が定まった点については、期待通りの進展であり、今後の高機能化等の研究の基礎が整っている。さらに、当初の研究計画にはなかった、構造作製プロセス上の熱処理の排除に成功していることも、大きな進展である。
一方で、これらの光学特性の調査の進展に伴って、二色性反射のメカニズムの詳細に関する調査はやや遅れている。実験から得られる定性的な考察は鮮明に得られつつあるが、スケール則を伴うような理論的考察については、やや遅れているのが現状である。
以上を総合すると、研究課題全体としてはおおむね順調に進展していると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進について、まずは研究実施計画に基づき異方的反射二色性発現のメカニズムの解明と、表面修飾による高機能化・高性能化について検討を進める。とくに、後者については、二色性媒体としての“調色”の観点に基づいており、基本構造が発現する二色性を2次的にモディファイすることを主な目的としている。研究実施計画では、主として機能性分子による表面修飾を計画していた。しかしながら、現時点での構造作製における知見の発展に基づき、「表面修飾」と「エッチング」の両者を複合的に検討する方策を立てている。これは、表面修飾に必要な前処理の重要性と、この前処理自体による光学特性の変化を考慮したもので、計画当初ではこれらの要素の重要性や効果については未知数であった。現在までの知見に基づいて、両者の複合的作用が予想されており、これらを利用して異方的二色性媒体の高機能化・高性能化の検討を行う予定である。
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