2015 Fiscal Year Annual Research Report
溶液成長ZnOナノロッド圧電素子の圧電性・弾性評価と成長制御による圧電応答改善
Project/Area Number |
26790046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 健太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40582078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 圧電性半導体 / ZnO自立ナノロッド / 選択的溶液成長 / 応力下その場観察 / 単一構造評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
前駆体水溶液中での化学合成を原理とする溶液成長法は、圧電性半導体ZnOの自立ナノロッドを異種基板上に低温・低コストでエピタキシャル成長可能な手法である。溶液成長法によるZnO自立ナノロッドを圧電素子に応用し、高い圧電変換効率を実現するには、①弾性限界歪が大きく、②圧電電荷の取り出し効率が高い、必要がある。その為には、①結晶欠陥が少ない、②直径が一様で残留キャリア濃度が低い、ことが重要である。 我々はこれまで、ZnO自立ナノロッドを任意の直径・配列で選択的にエピタキシャル成長する技術を開発した。更に、SEMカソードルミネッセンス(CL)顕微分光装置に金属プローブ電極とナノマニピュレータを搭載したNanoprobe-CL装置を用いた、単一ナノ構造評価技術を開発した。本研究では、溶液成長ZnOナノロッドの圧電応答検出を目標とした。 2014年度は、Nanoprobe-CL装置への応力センサシステム導入、ZnO基板を用いた圧電電荷検出試験を行い、ZnO基板からの圧電応答信号を得た。一方で、ZnOナノロッドからは信号が得られなかった。その原因として、①ナノロッド内部に、酸素過少やコアレッセンス由来の結晶欠陥が存在し、それらを起点として、4%以上の1軸曲げ歪で破断・塑性変形すること、②ナノロッドの側面成長により、直径の不均一や残留キャリア濃度の高い領域が生じ、無歪部分(=直列抵抗)による圧電応答遅延や残留キャリアによる圧電電荷相殺に繋がることを見出した。2015年度は、ナノロッドの圧電応答速度・出力の向上のため、Au薄膜/n-Si(111)基板構造の上に自立したZnOナノロッドを配向成長する技術を開発した。 上記成果に関して、原著論文発表[ACS Nano (2015), Nat. Commun.(2016)]を行い、2016年3月の応用物理学会分科企画シンポジウムでの招待講演を行った。また、2016年8月のEMN Meeting (Berlin, Germany)での招待講演を予定している。
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