2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26790047
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐久間 洋志 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プローブ顕微鏡 / 電位分布 / スピン流 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン流は電流のようにジュール熱を発生しないため,超低消費電力のデバイスに応用できる可能性があるが,現在のところ,ごく限られた条件でしか観測されていない.本研究では,スピン流の理解を深めるために,ナノプローブを用いてナノスケールのスピン流イメージングを試みる.平成26年度には,以下の検討を行った. 【プローバー装置のセットアップ】ステッピングモーターによりミリメートル単位で3次元的にプローブを移動可能で,なおかつ圧電素子によりナノメートル単位での移動も可能なプローバー装置を自作した. 【強磁性金属/常磁性半導体接合部の形状イメージング】スピン流はスピン流源から数マイクロメートル以内で消失してしまうので,スピン流源(強磁性体)とスピン流が流れる媒体(常磁性体)の境界をナノメートル精度で検出する必要がある.また,プローブを常磁性体表面に接触させて,スピン流に起因した電圧を測定するが,この動作もナノメートル精度で制御しなければプローブの先端がつぶれてしまい,位置の分解能を落としてしまう.ナノメートルの領域であるので,光学顕微鏡では観察することが難しく,電気的に検出する必要がある.そこでまず,強磁性金属と常磁性半導体上でプローブを近づけていったときに電圧がどのように変化するかを調べた.その結果,強磁性金属上では10ナノメートル以内で急激に電圧が変化するが,常磁性半導体上では約1マイクロメートルにわたって緩慢な電圧変化が観測された.このことは強磁性金属/常磁性半導体の境界を見つける上では有利であるが,常磁性半導体の表面を決定する上では問題であり,今後さらに検討する予定である.このようにして電圧を測定しながらプローブを走査することにより,強磁性金属/常磁性半導体の境界をナノメートルスケールで検出することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度には,プローバー装置のセットアップ,強磁性金属/常磁性半導体接合部の形状イメージング,ナノプローブによるスピン流検出手法の確立を予定していた.最初の二つについては「研究実績の概要」に記載したようにほぼ完了したが,3番目の項目についてはまだ達成していない.これはスピン流による電圧信号は非常に小さいという物理的な原因によるものであるが,今後測定方法の検討を行い,技術的に解決したいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,研究計画に対して遅れている,ナノプローブによるスピン流検出手法の確立を早急に達成したい.この検討事項はこれまで報告がない試みであり,本研究において一番の難関である.しかしながら,現在までにいくつか解決策の候補を挙げており,これらを順次試みることにより目的達成を目指す.続いて,スピン流のナノスケール・イメージングを予定しているが,前の検討項目が実現していれば順調に進むものと予想される.
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Causes of Carryover |
平成26年度には,プローバー装置のセットアップのためにポジショナー一式を整備する予定であった.しかし,整備する機器が目的の機能を果たすかどうかテストするために,まずシステムの一部の部品を購入し,手持ちの機器と組み合わせて試用した.このため残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には,前年度購入を見送った残りの部品を購入する予定である.
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Research Products
(1 results)