2015 Fiscal Year Research-status Report
イオン伝導顕微鏡による液中環境下での高速3次元ナノイ メージング技術の開発
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26790048
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 信嗣 金沢大学, バイオAFM先端研究センター, 助教 (70455864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / ナノバイオ / メゾスコピック系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、高速SICM技術の開発と生物試料観察における有用性の実証を目的としている。平成27年度は、昨年度までに個々に開発してきた高速SICMの要素技術を計測プラットフォームに統合し、試作機を組み上げた。更に、高速SICMに適した走査アルゴリズムを新規に開発し、生物試料をイメージングすることで試作機の性能評価を行った。 性能評価の結果、高速SICM試作機の走査速度は従来型SICMと比較して100倍以上高速であることを実証できた。更に、走査速度向上に伴い、従来よりも高空間分解能プローブを使用して安定に計測できることを実証した。試作機の垂直空間分解能、水平空間分解能、時間分解能はそれぞれ0.5 nm、5 nm以下、1 fps以上、を達成しており、これは従来型SICMの典型値である10 nm、50 nm、0.005 fps以下、を大幅に超えている。 試作機により、液中にある直径7 nmのアクチン繊維単体および3次元ネットワークを組んだ複数のアクチン繊維の形状、マイカ上に展開した高さ6 nmの脂質膜のステップを明瞭に観察することに成功した。更に、マイカ上において数秒でダイナミックに変化する脂質のナノスケール形状、単離したミトコンドリアの全体形状を数秒程度で可視化することにも成功しており、これまでSICMでほとんど観測できなかった構造や現象を、高速SICMにより捉えることに成功しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に掲げた目標を全て達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、当初の計画どおりに生きたオルガネラや細胞表面の形状ダイナミクスを数nmの空間分解能で高速SICMにより可視化することを目指す。これらは従来の計測手法では可視化困難だったことであり、生物試料観察における高速SICMの有用性を示すことができるよい候補である。 また、平行してSICMプローブの新規開発を行う必要が生じている。平成27年度の研究により、これまでに開発したSICMプローブは凹形状のイメージングは得意であるが、硬い基板上にある細い繊維のような凸形状は可視化しにくいことがわかった。これを解決するために、先端形状をより細くしたプローブを開発する。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画どおり使用している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の消耗品の購入に当てる。
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Research Products
(5 results)