2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ion conductance microscopy with high spatio-temporal resolution for visualizing nanostructures in liquid environment
Project/Area Number |
26790048
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 信嗣 金沢大学, バイオAFM先端研究センター, 助教 (70455864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 物理計測・制御 / 走査プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、液中環境下にある試料のナノスケールの表面形状を高速に計測可能な、新しい走査プローブ顕微鏡技術の開発を目的としている。このために、ナノポアを有するガラスプローブを探針とし、探針が試料表面を触れることなく形状イメージングを可能とする走査型イオン伝導顕微鏡の走査速度を、従来よりも飛躍的に向上する技術の開発を行った。開発に成功した高速走査に必須な要素技術を以下にリストする。 ■(1)従来の10倍のイオン電流検出感度を有するナノポアプローブ ■(2)従来の100倍高速な探針走査型ナノポジショナー ■(3)アクティブ振動制御手法 これらの開発の結果、高速走査性能の指標となるプローブ近接速度を従来の100倍以上に飛躍的に向上することに成功し、従来数分から数十分間要していた1画面の形状イメージ取得時間を、数秒程度に改善することができた。従来よりも桁違いに高速走査可能なこの新しいイメージング技術を高速イオン伝導顕微鏡と名付けた。高速イオン伝導顕微鏡の有用性を評価するために、いくつかの試料の観察を行った。この結果、基板上にある直径7nm程度のアクチン線維や、展開した高さ5nmの脂質二重膜の段差を明瞭に観察することに成功した。さらに、細胞表面にある先端幅2nm程度の高アスペクト比のナノ構造を可視化した。また、単離してきた脆弱な構造を有するオルガネラを破壊すること無く、数十分間にわたってイメージングすることにも成功した。これらの結果は、高速イオン伝導顕微鏡が走査速度だけでなく、サブ10nm形状を認識する空間解像度を有する非侵襲イメージ技術であることを示しており、これまで可視化不可能だった生細胞やオルガネラといった液中の生体膜上で起きている膜動態を分子レベルで可視化できる可能性がある。
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