2015 Fiscal Year Annual Research Report
電気二重層トランジスタを用いた鉄酸化物の酸化還元反応制御
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26790052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
畑野 敬史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00590069)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 鉄酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度はSrFeO_x_(以下SFOx)薄膜を簡易的な電気二重層トランジスタに加工し、負ゲート電圧印加によって電気伝導度が増大されることを確認した。SFO2.5が絶縁体である一方、SFO3は金属であるため、電圧による酸素導入により金属状態に近づき、伝導率が増大したものと期待された。 本年度は計画に従い、電圧印加によるon状態における電気抵抗の温度依存性を測定し、金属に近い振る舞いを示すことを確かめた。さらにデバイス動作が酸素導入による伝導度変調に起因することを確認すべく、専用のパージボックスを準備し、デバイス動作の雰囲気依存性を確かめた。結果、N2、Ar雰囲気下ではデバイスは動作せず、O2雰囲気下においてのみ伝導特性をスイッチできることがわかり、電界による酸素導入をさらにサポートする結果が得られた。加えて、O2中のデバイス動作と、大気中のデバイス動作においてヒステリシスの開き方に違いがあることを見出した。これは大気中の水分の影響によるものと考えられる。以上のように、イオン液体を用いた電界効果デバイスが電気化学セルとしても機能し、酸素の出入りを電圧制御できることを実証できたと考えられる。次に電気抵抗率を正しく評価すべく、これまでのデバイス作製プロセスを見直すことで、チャネル幅の厳密に定まったデバイスを作製することに成功した。結果、本デバイスの電気抵抗率は約-3 Vの電圧印加によって60 mΩcmまで到達することが分かった。x =3.0状態の電気抵抗率は、先行研究によれば1 mΩcmまで到達するため、負電圧印加による酸化はx =3.0までは到達していないと思われる。 一方、発展的課題として設定していた正電圧印加によるx = 2.5からx = 2(無限層構造)への還元反応は、大きな構造変化を伴うこともあって予想通り困難であり、本年度のデバイスにおいても成功に至っていない。
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Research Products
(3 results)