2015 Fiscal Year Research-status Report
複雑信号印加によるカオス発振半導体レーザーの軌道不安定性制御と秘匿通信への応用
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26790059
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
海老澤 賢史 新潟工科大学, 工学部, 助教 (50386596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レーザーカオス / 半導体レーザー / 光カオス通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,戻り光をもちカオス発振する半導体レーザー(Laser Diode,LD)と,それを光注入するLDからなる系を考える。各LDの駆動電流に電気回路で作成した疑似ランダム信号などの複雑な信号を印加することで,カオス発振LDの軌道不安定性が制御可能であることを実験的/数値的に示すことと,この特性を用いたカオス秘匿通信手法の構築を目的としている。 研究実施計画において,当該年度はLDの駆動電流に印加する複雑信号が,疑似ランダム信号である場合と外部カオス系による信号である場合の比較を行うとしていた。しかし,前年度に特定の周波数帯域を持つ信号を加えることが軌道不安定性の制御に効果的であることの報告を行っている。このため,軌道不安定性をより効果的に変化させることを目標とし,当初は補となる計画であった他のカオス系の模索を行った。ここでは,カオスニューラルネットワークなどへの応用も期待される相互光注入系に注目した。 昨年度検討したカオス発振する戻り光LDが一方向にLDへ光注入する系に加えて,カオス発振戻り光LD同士が互いに光注入しあう相互光注入系について,そのカオス発振の軌道不安定性について数値シミュレーションにより解析を行った。これにより,系にある特定の範囲の戻り光量と注入光量のパラメーターを与え,一方のLDの戻り光量を変化させると,自身の軌道不安定性はほぼ変化せずに,他方の軌道不安定性のみ変化させることが可能であることを示した。さらに効果は小さいものの疑似ランダム信号の印加によっても達成可能である。これらについて学術講演会等で報告を行っている。 また,昨年度より引き続き,カオスの特性を定量化する手法としてフラクタル次元の導入も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に,カオス発振LDの軌道不安定性制御の視点からはLD駆動電流に印加する信号の周波数帯域が重要であることの報告を既に行っているため,当初の計画では補となっていた他のカオス系の模索について重点的におこなった。双方向光注入系のLDに疑似ランダム信号を印加した場合の数値シミュレーションや,それらに関する理論的な考察を一部報告することができた。これは,当該研究の目的であるカオス発振LDの軌道不安定性を制御するために有用な事項であると言え,現在までの達成度は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画に従い,上記特性を用いた光カオス秘匿通信手法をについて,その特性を明らかにしていく。また,一方向光注入系と双方向光注入系のLDに疑似ランダム信号を加えた場合の数値シミュレーションの比較,及び理論解析により,カオス発振LDの軌道不安定性が制御可能となるパラメーターの条件を明らかにする。また,実験による検証も進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額に相当する金額の実験用器具などを発注していたが,発注が時期が遅かったため,納期が事務手続きに間に合わず次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由により次年度使用額に相当する金額は速やかに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)