2014 Fiscal Year Research-status Report
透明超伝導体を用いた背面照射式フォトカソードの開発
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26790069
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
許斐 太郎 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 助教 (20634158)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光電面 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
透明超伝導体上にマルチアルカリ光電面を成膜した背面照射式フォトカソードの評価を行っている。2014年度は光電面の成膜条件確立とフォトカソードの超伝導特性の測定、初期エミッタンス測定装置の構築、光電子分光装置での光電面表面の観察の4つを行った。1つ目の光電面の成膜条件は、成膜装置にて3種類の光電面を成膜して、量子効率と励起光波長の関係を測定した、エネルギー閾値が従来の研究で知られている値に合致したことから、本成膜装置における成膜方法を確立できたと考えている。2つ目のフォトカソードの超伝導特性測定では、光電面を成膜する前後の透明超伝導体について超伝導量子干渉磁束計(SQUID)を用いて温度と下部臨界磁場の測定を行った。光電面成膜前後での臨界磁場の低下は無かった。また、この測定より求めた透明超伝導体のRF臨界磁場は5Kで8.8mTであった。超伝導電子銃運転時にフォトカソード上に印加される磁場は4.3mTであり、RF臨界磁場が十分大きく、超伝導電子銃に搭載可能であることを確認した。3つ目の初期エミッタンス測定装置構築は、組み立てを完了し冷却前後の初期エミッタンス測定を進めている。冷却ではサンプル部の温度は6.7Kまで到達することを確認した。しかし、冷却中に量子効率が急激に低下するという問題が現れた。真空ポンプを増強して高温ベーキング行い基本真空度の改善を行ったところ量子効率の低下が緩和した。また、測定においても、装置の製作精度に起因するとみられる測定誤差が生じており改善行う予定である。4つ目の光電子分光装置での光電面表面の観察では、放射光施設UVSORの放射光ビームラインBL2Bに新たに光電面成膜装置を取り付けた。59 eVの放射光を用いて光電子分光を行った。光電面の構成物であるアンチモンがセシウムとカリウムに反応して化学シフトする様子を観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画では光電面の成膜条件確立とフォトカソードの超伝導特性の評価、初期エミッタンス装置の組み立て、光電子分光装置による表面分析の4つを計画していた。1つ目の光電面の成膜条件確立は達成した。2つ目の超伝導特性の評価も完了した。3つ目の初期エミッタンス装置の組み立てについては、組み立ては完了したが、冷却時に起こる量子効率が低下する問題と、初期エミッタンス測定の誤差原因と考えられる装置の製作精度の改善を行わなければならない。4つ目の光電子分光装置での観察は、成膜装置の校正に時間を費やしてしまい、光電面表面の観察を行うことまではできたが、基板界面の測定や励起光エネルギーを変えての測定は完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は2015年4月1日より、分子科学研究所から高エネルギー加速器研究所に転出した。このため、成膜装置と初期エミッタンス測定装置を高エネルギー加速器研究所へ移動させなければならない。移設は2015年5月から6月頃に行う予定である。移設後に成膜装置を再度立ち上げるとともに、初期エミッタンス測定装置の改造を行う。具体的には、測定エラーを生じる原因と考えているビーム引出し電極を製作誤差が小さくなる構造に改め再製作する。また、冷却中に量子効率が減少する問題を解決するために、真空度が悪くなる原因と考えているクライオスタット構造の改善を図る。以上2点の改造を行うことでフォトカソード温度と初期エミッタンスの関係を明らかにして、よりエミッタンスの小さい電子ビーム発生条件を探る。光電子分光による光電面表面及び基板界面の観察は、基板に光電面を薄く積層することで基板界面からの変化を測定する、また、光電面の蒸着条件を変化させたときの化学シフトを観測し、より良い光電面の成膜条件を探る。
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