2015 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギー重粒子破砕片の生成角度分布の測定及び理論的研究
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26790072
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小川 達彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究員 (20632847)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 重イオン / 核破砕片 / 角度分布 / 生成断面積 / 核反応モデル / 計算コード |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度から引き続いて原子核破砕片角度分布の断面積測定と、シミュレーションモデルの開発の両方を行った。実験は放射線医学総合研究所の加速器施設HIMACを用いて、炭素イオンを鉛や鉄などの重い金属ターゲットに照射することで破砕片を生成し、炭素原子核の破砕断面積を測定した。破砕片の電荷と質量の分離に成功し、Li-6,7,Be-7,9,10, B-10,11 の核を識別することができた。前年度までの測定では炭素やアルミなどの軽いターゲットを使っていたため、破砕片の散乱角度は5°程度に限られていたが、鉄や鉛は破砕片の広がりを加味して10°まで測定することとした。 この実験結果を、原子核-原子核衝突反応を記述する量子分子動力学モデル(JQMD)を用いて再現を試みたところ、昨年度までに改良したJQMD-2.0はそれまでのバージョンJQMD-1.0と比べてより正確な断面積を出したものの、特に鉛ターゲットに対しては精度があまり良くない核種も存在することが確認された。昨年度のJQMDの改良は、核子間の相互作用をローレンツ不変に書き直すことで、原子核の座標変換に伴う崩壊(疑似反応)を防ぐものであったが、鉛のように重い核になると208個程度の核子すべてを安定させることは難しく崩壊してしまい、それが反応の記述に悪影響していることが示唆されている。 この成果により重粒子線治療施設や研究用加速器における遮蔽材や加速器部材の放射化・二次放射線生成に関する新しいベンチマークデータを得ることができた。また、今後モデルをどのように改良すれば計算精度が上げられるかの指針も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では発展的な照射条件で破砕片生成断面積を測定することになっており、今年度従来より重い鉄や鉛のターゲットに対して、測定角度の幅を広げることによって測定に成功した。これにより、本研究で計画した実験はすべて終えることができた。また同じく当初の予定に含まれていた、JQMDに改良を加え辺縁衝突を再現する点については去年終了しているので、今年はそれを使った実験データとの比較まで行うことができた。このことから、今年度は当初の計画を先取って進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
断面積測定実験については当初予定していた内容をすべて終え、これまでに十分な成果が上げられたことから終了とする。今後はこれまでに得られた実験結果や文献値を用いてモデル検証と修正を進める。特にJQMD-2.0モデルを改良し、鉛などの重い核の反応断面積を正確に再現できるよう検証を進める。また実験結果やモデル改良に関する学会発表や論文化を進め、成果の普及を図る。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたMathematicaのライセンスを、別の研究プロジェクトで入手し、購入の必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その分を次年度の学会発表や論文発表に活用する予定である。
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Research Products
(8 results)