2015 Fiscal Year Research-status Report
ガスストリッパーにおける大強度イオンビームのエネルギー散逸と熱負荷抑制法の研究
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26790074
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今尾 浩士 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 専任研究員 (30585542)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガスストリッパー / 真空紫外分光 / 重イオン加速器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、理研RIビームファクトリーに既存の循環型Heストリッパーと昨年度までに開発を進めた真空紫外分光・計数システムを接続するための差動排気系を構築した。 真空紫外光の輸送では窓材を使用する事が出来ないため、窓なしで差動排気を行う必要があり、その実現は実験の大きな鍵である。差動排気システムにおいては、2台のメカニカルブースターポンプ、2台の多段ルーツポンプ、2台のターボ分子ポンプを使用しており、5段階の差動排気で真空紫外光の通り道Φ3 mmを確保しつつ、Heストリッパーの7 kPaから真空紫外光の検出器(Csコーティングチャネルトロン)の動作可能な真空度である10^-3 Paまで真空度を上げる事に成功している。 実際に真空紫外光分光系とHeストリッパーを接続し、Csコーティングチャネルトロン検出器に高電圧を印加し、暗電流によるシグナルの確認を行った。開発された差動排気システムを用いる事でHeガス蓄積下においても高電圧印加が可能で、正常なシグナルが得られる事が分かった。 更に、実際にHeガスストリッパーにウランビームを通過させ、ビームに同期した真空紫外光の試験的測定を行った。ビームを用いた分光測定においてはチェンバーを貫通して直接検出器までやって来るビームに同期したガンマ線、中性子、その他荷電粒子のバックグラウンドが懸念されたが、適切な時間ゲートをかける事で、バックグラウンドは強く抑制され、問題にならないレベルになる事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビーム照射試験に必要な全てのデバイス、ソフトウェアの構築が終わり、本年度の目標であったウランビームによる照射試験を行う事が出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウランビーム起因のバックグラウンドは深刻でない事が分かったため、検出器をより標的に近付けて、検出効率の増強を図る。そのために、差動排気系の増強、ガイスラー管発光を用いた入念なオフライン試験を行い、再度ビーム照射試験を行う。 結果を論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
ビーム照射試験の結果、差動排気系の更なる最適化が必要である事が分かり、予定していたヘリウムガス純化系・電場印加用電極の製作行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差動排気系の最適化、改良後、ヘリウムガス純化系・電場印加用電極の製作行い、予定の予算執行を進める。
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