2014 Fiscal Year Research-status Report
境界要素法による周期電磁波動散乱問題の高精度、高速な数値解法の開発
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26790078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新納 和樹 京都大学, 情報学研究科, 助教 (10728182)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 境界要素法 / 電磁波動散乱問題 / Calderonの前処理 / Galerkin法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の研究計画に従い,電磁波動散乱問題の数値解法の高精度化を目指し研究を行った.離散化に用いる内積を変更することで精度を改善する手法を電界型積分方程式に適用し,特に低周波域において精度が大幅に改善することを確認した.上記手法を適用することで精度の改善は達成されたが,同時に計算時間の増加を招いた.そこでさらに本手法の高速化にも取り組んだ.これまで研究を行ってきた積分方程式法の高速化法であるCalderonの前処理は本手法と相性が良く,ほぼそのままの形で本研究で開発した数値解法への適用が可能であったため,Calderonの前処理を採用した.その結果数十倍程度の計算時間の短縮を達成した.これは従来法から見ても数倍程度の高速化である.この高速化に関する研究は当初の研究計画では次年度に行うことを予定しており,本年度は予想以上の成果を挙げたと言える. また成果物の発表に関しては,既に上記の内容を学会で発表しており,成果をまとめた論文も投稿準備中である. 次年度の計画として,まず本手法の周期問題への拡張が挙げられる.本手法で用いている積分方程式法は周期問題を効率よく扱うことができるため,十分に高速,高精度な周期問題の数値解法が開発できることが期待される.また周期問題への拡張の完成後は本手法の長所を活かし,例えばナノポーラスゴールドなどの複雑な形状の散乱体に対する電磁波動散乱問題の解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初本年度の計画としていた高精度な電磁波動散乱問題解析手法の開発に関して,従来の低周波域における低精度を解決した電界型積分方程式の数値解法を開発し,実際に周波数の小さい問題において精度が大幅に改善していることを確認した.また当初,次年度の研究計画に挙げていた上記数値解法の高速化についても既に着手し,Calderonの前処理を適用することで従来法よりも計算時間を大幅に削減できることを確認するなど,一定の成果を挙げた.以上の結果より,本年度の研究は当初の計画以上に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
まず前年度に開発した数値解法の周期問題への拡張が挙げられる.電磁界解析の分野において周期構造が興味深い性質を持つことが様々な研究により報告されており,本手法を周期問題に拡張することで,そのような現象を数値的に解析できるようにすることは意義が大きいと考えられる.また本手法の有用性を示すために,複雑な周期形状を持つ散乱体に対する電磁波動散乱問題の解析を行う予定である.
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Research Products
(13 results)