2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土岡 俊介 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (00585010)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子群 / Shapovalov形式 / KLR代数 / KOR予想 / Rogers-Ramanujan恒等式 / Schur分割定理 / 柏原結晶 / 対称群 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子群の最高ウェイト表現のShapovalov形式を研究し、Khovanov-Lauda-Rouquier代数の次数付きCartan行列の研究に応用した (Anton Evseevさんとの共同研究)。これは前に行った共同研究 (arXiv:1503.009211, 投稿中) を発展させたものである。1つめの主定理は (適当な単模同値を除いて) アフィン量子群のレベル1最高ウェイト表現のShapovalov形式のGram行列の表示を与えるものであるが、これに基づきGram行列の「$\mathbb{Z}[q,1/q]$上の単因子」の予想を与えるに至った。これはK\"ulshammer-Olsson-Robinsonの予想 (Inv.Math.,(2003)) の (高次元化の) Lie理論的類似物である。2つめの主定理は、この予想の整合性に関するものであるが、それはEvseevによるKOR予想の解決のさらなる一般化になっている。
前述のKOR理論は対称群の通常指標に関するものであるが、そのスピン類似を考察する中で、奇数$p\geq 3$ごとにRogers-Ramajujan型恒等式を発見し、証明した (渡部正樹さんとの共同研究)。$p=3$の場合は「Schurの分割定理 (1926年)」として分割理論の教科書で標準的に扱われている。$p=5$の場合は、G.AndrewsによるRogers-Ramajujan型恒等式の3パラメータ一般化の研究の過程で1970年代に予想されたもので、約20年後にAndrews-Bessenrodt-Olssonによっ計算機を使う形で証明された (Trans.A.M.S.,(1994))。我々の一般化・証明は京都スクールによるperfect crystalの理論を用いるもので、分割理論に量子群の表現論から新しい知見を与えられたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
渡部正樹さんとの共同研究で発見した、3以上の任意の奇数pについて成り立つRogers-Ramanujan型恒等式は、p=5の場合が1974年にG.E.AndrewsがRogers-Ramajunaj恒等式の3パラメータ一般化の中で予想し、20年後にAndrews-Bessenrodt-Olssonが計算機を援用して証明したものであるという歴史からも示唆される通り、分割理論の重要な発見と考えている。また対称群のpモジュラースピン分解行列の列の良いindex setの定義を与えると期待される。このような分割の部分集合は長く期待されていたもので(p=3の場合は、Bessenrodt-Morris-Olssonによって証明されている)、対称群のモジュラー表現論の進展に寄与する発見の可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新しいRogers-Ramanujan型恒等式に注力しすぎたため、その他の研究課題に時間を十分に割けなかった。既にいくつか結果を得ているので、さらに新しい研究にとりかかるのをいったん中止して、論文にまとめることを優先したい。
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Causes of Carryover |
研究計画に変更が生じ、最終年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年度目に遂行予定であった計画のために必要な議論のための出張旅費とする。
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