2015 Fiscal Year Research-status Report
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26800018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斎藤 新悟 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40515194)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限多重ゼータ値は,多重ゼータ値の定義で和の範囲を素数p未満に限定したものをmod pしてpに関して並べたものであり,定義から対称性を持つことが容易に確かめられる。一方,有限実多重ゼータ値は,通常の多重ゼータ値の積を符号をつけて足し,対称性を持つようにしたものである。この2つの多重ゼータ値の間には,類似性はあるものの,直接的な関係は自明には存在しない。それにもかかわらず,この2つの多重ゼータ値のなす空間は同型であることが予想されており,何らかの代数的な枠組みが背後に存在することが予期される。この2つの多重ゼータ値は近年精力的に研究されており,すべての関係式を生み出すと予想されている関係式や,組合せ論的な対象との関係などが得られている。 本年度は以下の活動を行った: 1. 予想されているある関係式の証明に取り組み,その関係式がある特別な場合には成立することを証明した。 2. 関西多重ゼータ研究会等の研究集会に参加し,最新の研究成果に関する情報収集を行った。 3. 2015年11月には,名古屋大学で開催された国際研究集会Zeta Functions of Several Variables and Applicationsで,Relations among finite multiple zeta valuesというタイトルで招待講演を行った。 4. 若林徳子氏との共著論文Sum formula for finite multiple zeta valuesが2015年7月にJournal of the Mathematical Society of Japanに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在取り組み中の予想関係式の完全な証明には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最近特に研究が盛んである,組合せ論的対象との関係や,新たな積分表示に関連して研究を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,当初予定していた研究集会への参加費の一部を,校費でまかなったからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究集会への出席や研究打ち合わせなどのための旅費,および書籍等の物品費として使用する。
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Research Products
(3 results)