2014 Fiscal Year Research-status Report
ファノ多様体の双有理的森ファイバー構造の研究と有理性問題への応用
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26800019
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岡田 拓三 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20547012)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ファノ多様体 / 森ファイバー空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体の双有理同値類における森ファイバー空間のことをその多様体の双有理的森ファイバー構造という。本研究課題以前から、85族からなる3次元余次元2Qファノ重み付き完全交叉(以下、ファノ重み付き完全交叉)の双有理森ファイバー構造してきたが、平成27年度も同内容を引き続き研究した。本研究課題開始以前までに、33族に属するファノ重み付き完全交叉の森ファイバー構造を決定していた。それらのうち、19族に属するメンバーは双有理的森ファイバー構造を丁度1つ有し、14族に属するメンバーはその双有理的森ファイバー構造が丁度二つのファノ多様体からなる事が分かっている。平成27年度では、さらに、21族に属するメンバーの双有理的森ファイバー構造の決定に成功した。それら21族に属するメンバーの双有理的森ファイバー構造は、丁度二つのファノ多様体からなることを示した。これにより当該多様体の非有理性が直ちに導かれる。残る31族の研究も継続的に行っているが、研究の完成にはまだ時間がかかる事を認識している。特に、その内の6族に関しては、双有理同値類に特異点を持つdel Pezzo束が現れる事が分かっているため、特異点を持つdel Pezzo束の双有理幾何学的研究に着手している。また、双有理的森ファイバー構造を丁度3つ有する3次元ファノ多様体の初めての例を構成し、族における双有理的森ファイバー構造の個数が上半連続的に振る舞わない事も観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファノ重み付き完全交叉の双有理的森ファイバー構造の研究は、本研究課題の最大の目標であり、その研究が着実に進展しているためおおむね順調であると言える。当初から予想していた最も難しいであろう部分が(予定通り)残っているため、当初の計画以上に進展しているとは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き(余次元2)ファノ重み付き完全交叉に関する研究を行う。一方で、申請段階では目標としていなかった以下の課題に取り組むつもりである:Ahmadineahd氏、Zucconi氏との共同研究により、余次元3ファノ重み付き完全交叉の双有理的森ファイバー構造の研究を行う。
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Causes of Carryover |
研究以外の諸業務が想定より忙しく、出張する機会が予定していたよりも少なくなってしまった。また、パソコンの購入を次年度以降に先送りした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月にイギリスの研究集会に参加する予定である。また、1月に国立台湾大学にて研究集会を開催する予定である。また、パソコンの購入、専門図書の購入なども行う予定である。
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