2016 Fiscal Year Research-status Report
ファノ多様体の双有理的森ファイバー構造の研究と有理性問題への応用
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26800019
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岡田 拓三 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20547012)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ファノ多様体 / del Pezzo束 / コニック束 / 安定有理性 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体は, 適当な次元の射影空間と直積を取って有理的になるとき, 安定有理的であるという. 安定有理性は有理性と単有理性(あるいは有理連結性)の中間概念である. 本年度は, 近年大きく発展した0サイクルに関する特殊化定理と正標数における微分形式の特異な挙動を利用することにより, 高次元代数多様体の安定有理性に関して大きな進展があった. より具体的には, 射影空間上の巡回被覆, 3次元重み付き超曲面, 射影空間上のコニック束(Ahmadinezhad氏との共同研究)及び射影空間上のdel Pezzo束(Krylov氏との共同研究)といった広範囲にわたる代数多様体が, 簡潔な数値条件を満たす場合に安定有理的でないことを示した. 本結果は3次元以上の任意次元におけるものであるが, 特に3次元においては満足のいく内容となっている. 重み付き射影空間に埋め込まれた余次元2, 3の3次元ファノ多様体で双有理剛性を有するものの分類は, 余次元2の場合は研究代表者により, また, 余次元3の場合は昨年度に行われた研究代表者とAhmadinezhad氏との共同研究によりなされた. 本年度は, In-Kyun Kim氏, Joonyeong Won氏との共同研究により, 上述のような重み付き射影空間に埋め込まれた余次元2及び3の双有理剛性を持つ3次元ファノ多様体の大域的対数標準域値が1以上であること(より正確には, 1つの例を除いて全て1に一致すること)を示した. 重要な系として, それらの多様体がK安定であり, ケーラー・アインシュタイン計量を有することが従う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、一般次元における比較的広範囲な対象の(非)安定有理性に関する結果を得ることができた。本研究は、本課題申請時点で想定していなかったものであり、またさらなる研究への発展が期待できる。同時に、本研究課題における主要対象である重み付き射影空間に埋め込まれたファノ多様体に関する大域的対数標準域値の結果も得られたため、当初の計画以上に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
高次元代数多様体の(非)安定有理性についての研究を継続する。また、3次元ファノ多様体、特に重み付きファノ完全交叉といった多様体を対象とした、有理性に関連する双有理幾何的研究を行う。
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Causes of Carryover |
学内業務が多忙であったため予定していた出張をキャンセルしたことが次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に2件の海外出張を予定しているので、それらに使用する。
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