2014 Fiscal Year Research-status Report
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26800021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 和輝 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (20725254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保型表現 / 保型L函数 / p進簡約群の表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
SO(n,2)とGL(2)のテンソル積L函数の特殊値の代数性を考察するために、このL函数を含む特殊直交群とGL(n)とのテンソル積L函数の積分表示を考察した。このL函数についてはD.Ginzburg、S.Rallis、D.Soudryにより積分表示が与えられていたが、彼らの考察を一般化する事に取り組んだ。この取り組みの結果として、Kato-Murase-SuganoによるBessel modelの公式を用いることで、分裂型の直交群の場合に不分岐計算が、彼らのものと比べて大幅に簡易化できることが分かった。また、このL函数のn=3の場合として考えられるGSp(4)とGL(2)のテンソル積L函数に関して、特殊値の代数性の証明を完成させ投稿した。これは筆者の以前の結果の大幅な一般化である。この結果に関して、ドイツのMathematisches Forschungsinstitut Oberwolfachで開催されたワークショップ「Modular Forms」において講演を行った。
GSp(4)とGL(2)のテンソル積L函数についてはp進L函数の構成についても考察した。E.EischenによるGU(n,n)のp進Siegel Eisenstein測度に関する結果を用いれば、シンプルな場合にp進L函数の構成が可能であることが分かった。
上記の研究と平行して、p進体上のGL(2n,E)のユニタリタイプの表現に関して、(GL(2n,F),1)-モデルとWhittakerモデルの間の積分変換を考察した。ここでEはFの二次拡大。これは、メタプレクティックタイプの場合のLapid-Maoの結果の類似である。この研究に関してE.Lapid氏を訪問し研究連絡を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特殊値の代数性はそのL函数の数論的応用において基本的な役割を果たす。そのため、GSp(4)とGL(2)のテンソル積L函数の特殊値に関する結果を一般化できたことは今後の応用において重要である。さらに、このL函数についてp進L函数の構成の可能性を見いだせたことも重要である。一方、特殊直交群とGL(n)とのテンソル積L函数の不分岐計算に関しても、統一的な方法で取り組みへの足がかりを得たことは、今後の一般化において有用である。また、モデルの変換公式に関しても今後の研究の発展が期待できるため、研究の達成度は高いと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はL函数の特殊値の算術的側面に焦点をおいた研究を予定していたが、次年度からはLapid-Maoによるユニタリ群上のWhittaker周期に関する予想について取り組む。この予想はWhittaker周期の明示式を随伴L函数の値で記述するものであり、その公式自体が興味深いものであるだけでなく、ユニタリ群の他のL函数の特殊値の考察においても有用だと思われる。従って、この研究を押し進めていくことは、当初の研究課題の進展のためにも重要であると考えられる。LapidとMaoによるメタプレクティック群の場合の結果に倣ってこの予想に取り組んでいく。次年度には、ユニタリ群の局所ガンマ因子のmultiplicativityなど、p進体上の局所因子の解析に取り組む。
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Research Products
(4 results)