2015 Fiscal Year Research-status Report
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26800021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 和輝 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (20725254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保型表現 / 保型L函数 / p進簡約群の表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
E.LapidとZ. Maoは市野ー池田予想の類似として、Whittaker周期の明示公式を予想した。LapidとMaoはメタプレクティック群の場合には、アルキメデス素点上での適当な仮定の下で予想を証明している。本研究では偶数次ユニタリ群の場合にLapidとMaoの予想を考察した。この場合には、LapidとMaoはGlobal Descent mapの既約性を仮定した時に、彼らの予想が適当な局所体上の適当な等式へと帰着できることを証明した。取り組みの結果として、この既約性を証明することができた。さらに、この既約性の帰結として、Genericな保型表現に関するRigidity Theoremや、局所逆定理を証明する事も出来た。局所逆定理は局所Langlands対応の一意性を導くなど、p進簡約群の表現論において非常に重要な結果である。 Lapid-Maoの予想を適当な局所体上の等式へと帰着できたので、その局所等式の証明に向けた準備として、Lapid-Maoの証明に倣いモデルの変換公式に取り組んだ。実際、E/Fを非アルキメデス局所体の二次拡大とした時に、GL(2n, E)のtempered表現に関して、その(GL(2n, F), 1)-モデルとWhittakerモデルの間の同型写像を積分により明示的に構成した。また、Lapid-Maoによって示され、局所等式の証明で重要な役割を果たした函数等式の類似を証明する事が出来た。 さらに、古澤昌秋氏(大阪市大)との共同研究では、SO(2n+1)xSO(2)の場合のGross-Prasad予想を考察し、次数2のfull modularなSiegelモジュラー形式に対して、Special Bessel周期の非消滅とL函数の中心値の非消滅の同値性が証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Lapid-Maoの予想において、局所等式への帰着の証明における仮定をはずせたことは、Lapid-Maoの予想の解決に向けた大きな進展である。また、その証明の結果として当初予期していなかった局所逆定理を証明できたことは、本研究のみならず、p進簡約群の表現論においても意義深い。さらに、モデルの変換公式はLapidとMaoの局所等式の証明において非常に重要な役割を果たしており、それが証明できたことはLapid-Maoの予想の解決への大きな進展であると同時に、p進調和解析においても重要な結果である。また、古澤氏との共同研究ではBoecherer予想の解決へ向けた大きな足がかりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き偶数次ユニタリ群の場合にLapid-Maoの予想に取り組む。大域的にユニタリ群でも局所的にはGL(n)と同型になる場合がある。局所的にユニタリ群となる場合には、非アルキメデス体上では今までの準備を用いることで、局所等式の証明に取り組む。また、アルキメデス体上では平賀、市野、池田によって証明された形式次数予想との関係を用いることで、局所等式の証明に取り組む。GL(n)と同型になる場合には、Lapid-Maoによって証明された彼らの予想のGL(n)版を用いることで、証明に取り組みたい。古澤氏との共同研究では、証明方法を精緻なものとすることで、L函数の中心値の明示公式に取り組む。
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