2017 Fiscal Year Research-status Report
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26800022
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮内 通孝 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (70533644)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | L関数 / ε因子 / ユニタリ群 |
Outline of Annual Research Achievements |
投稿中であった論文(arXiv:1208.0125)が加筆修正の後、 Math. Z. 誌に受理された。以前受け取った査読者からのコメントには、スーパーカスピダル表現の L 関数の計算を含めるよう提案があった。しかしながら局所 Langlands 対応と比較すれば、全てのスーパーカスピダル表現を扱うのは困難であると思われる。そこで研究期間中に行ったレベル零表現の L 関数の計算例を新たに論文に加え、スーパーカスピダル表現の L 関数は次数 0 または 1 の両方の値を取りうることの注意を加えて再投稿ののちに論文が受理された。 また分岐 U(2,1) のニューベクトルの理論についての研究を行い、不分岐 U(2,1) の場合と概ね同様の結果が得られた。これまでに未解決であったのは非スーパーカスピダル表現の場合である。これらの表現のうち、可約放物型誘導表現の既約部分表現が三種類あり、その中で誘導表現自身が完全可約である一種類が未解決であった。この場合をホイタッカー関数の精密な計算によって解決した。その結果、分岐 U(2,1) に対してもニューベクトルは存在し、そのゼータ積分は L 関数を表示することが示された。 現在他の研究者によって大域的なユニタリ群のニューベクトルについての予想が提示されている。本研究の結果は小さなユニタリ群 U(2,1) の場合ではあるが、この予想を支持する根拠となるものであり、今回の結果も周辺に影響を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分岐 U(2,1) のニューベクトルについて概ね解決はしているが、当初予定していた(1) 非スーパーカスピダル表現の局所 Langlands 対応。(2) スーパーカスピダル表現の L 関数の計算。が残ったままであり、やや遅れていると判断した。これらの課題の推進方策については次で述べる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の研究を行う。 (1) 分岐 U(2,1) のニューベクトルについての結果を整理する。一部ホイタッカー関数の精密な計算を用いる部分がある。これは一般のユニタリ群では難しいと思われる。一般化に適した方法、例えば一般線形群の場合の表現の微分の理論など、を用いて整理したい。 (2) 非スーパーカスピダル表現の局所 Langlands 対応。ゼータ積分の L 関数が表現の L 関数と一致することを示したい。これまで表現について主にホイタッカー関数を持つかどうかという性質しか見てこなかった。二乗可積分表現、緩増加表現の理論と比較し、L 関数の一致を確かめたい。 (3) スーパーカスピダル表現の L 関数の計算。これまでスーパーカスピダル表現についてがレベル零の場合しか L 関数が計算できていなかった。その他の場合にも計算を進めたい。その中でも 3 次拡大に付随するスーパーカスピダル表現は一般線形群の場合と比較可能で扱いが容易であると思われる。一般線形群の場合の理論をユニタリ群に適用できる形で整理して、この場合の L 関数の計算を行いたい。
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Causes of Carryover |
研究機関中に何度か入院する程度の病気になったため。当該助成金については今後の研究を遂行するための資料の購入、研究打ち合わせと情報収拾のための旅費として使用する。
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