2016 Fiscal Year Research-status Report
Dirac型作用素の摂動による指数理論の可積分系への応用とその深化
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26800045
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
藤田 玄 日本女子大学, 理学部, 准教授 (50512159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トーリック多様体 / origami多様体 / Dirac作用素 / 同変指数 / 指数の局所化 / 特異ファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、トーラス束とそのファイバーに沿ったDirac型作用素の族を用いた指数理論とその局所化理論の深化および応用である。今年度の主な実績の一つは、昨年度執筆し投稿中であったトーリックorigami多様体に対するDanilov型の定理の証明をまとめた論文の改訂作業である。Origami多様体とは、超曲面でのある退化を許容した2次微分形式が付与された多様体であり、それらに対してシンプレクティック幾何の種々の結果が拡張されている。トーリック多様体上の正則直線束の切断に対するDanilovの定理をトーリックorigami多様体に拡張した結果を論文にまとめ投稿中であったのだが、レフェリーから証明の一部のギャップを指摘され、そのギャップを埋める議論を考察した結果、当初考えていたものよりも簡潔な証明が得られた。具体的には、指数の局所化を適用するために構成するトーラス束の族に関して、origami多様体のシンプレクティック形式が退化する部分の近くで整合性が保たれないすき間があり、そこからの寄与の消滅を示す必要があったのだが、その寄与はorigami多様体の向きに関する分解を用いると自然にキャンセルすることがわかった。以前はこのすき間を通常のトーリック多様体に埋め込むという議論を考えていたがそれは不要となった。 また、以前執筆した球面の測地流を用いた球面型特異ファイバーの近傍の局所指数に関して、近傍のモデルとGelfand-Cetlin系に現われる得意ファイバーの近傍の比較の考察を行ったが、こちらは結果をまとめるまでには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内の業務および大学院生との共同研究に時間を費やすことになったため。しかし、投稿中の論文をよりよいものに改訂できたことは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度やや中途半端な形となった特異ファイバーの比較について、引き続き考察していく。
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Causes of Carryover |
PC環境整備のために行った前倒し請求により使用計画に変更が生じたための残額。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費や消耗品費に繰り込んで使用する。
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