2016 Fiscal Year Research-status Report
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26800051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 誠 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (60635902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ディレクティドポリマー / ランダム環境 / KPZ方程式 / 自由エネルギー / 分枝ランダムウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
ランダム環境中の分枝ランダムウォークの研究を進めることにした. 分枝ランダムウォークは生物模型の一種で生物が出産と空間の移動を行う様子を記述する模型として知られている. ランダム環境中で考えることにより時期や地域ごとに食糧問題や気候の変動により出生率が変動することを記述することができるようになった. ランダム環境中の分枝ランダムウォークはディレクティドポリマー(DPRE)と非常に高い関連があり, 問題の解決のためにDPREの研究に着手した. ランダム環境中のディレクティドポリマーは溶媒中に時空間に配置された不純物が高分子の形状へ与える影響を調べる模型であり1980年代に物理学者のHuse, Henleyらによって導入された. DPREの挙動は空間次元や温度によって全く異なる挙動をする(相転移が起こる)ことが知られており, 特に1次元, 2次元では常に局在化が起こることが知られている. この相転移を特徴付ける方法として自由エネルギーと呼ばれる物理量が用いられる. 近年では1次元空間におけるDPREとKPZ方程式との関係が注目を浴びており, 特にDPREがKPZのuniversal classに入るということが予想されている. その予想の一部として自由エネルギーの高温度での挙動にKPZ方程式の解の自由エネルギーが現れるというものがある. 2016年度はこの問題に着手し問題を解決することに成功した. 手法としてはDPREを時間に依存して高温にしたものの弱収束極限がKPZ方程式のCole-Hopf解になることを議論の中心として用いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はディレクティドポリマーの研究を行ったのち分枝過程の研究を行う予定であったが, こちらの想定していた以上にディレクティドポリマーの研究が進展したため分枝過程の研究への着手が遅れている. しかしここで得られた研究が分枝過程で有効であると考えており研究は順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度が最終年度であるのでこれまでに得られた研究結果を用いて速やかに分枝過程の研究に着手する. またこれまでに得られた研究結果に関して積極的に発信していくことで国内外の研究者との議論を活発に行う.
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Causes of Carryover |
出張旅費が当初予定していた金額を下回ったために生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
通常通りに使用する.
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