2015 Fiscal Year Research-status Report
Small representationの解析学的モデルの構成
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26800052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 利久 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (90647637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 極小表現 / 無限次元表現 / 不変微分作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までと比べて研究を大きく前進させることができたが, 扱う微分方程式系を変更したこともあり, 論文の投稿および研究発表などを行うことはできなかった.(詳しくは『現在までの進捗状況』を参照されたい.) 現在, これまでの研究結果をまとめているところであり, それが済み次第, 研究発表などを行っていく所存である.
また, 研究発表や論文発表という意味での研究実績ではないが, 本研究に関して海外へ2度ほど渡航したので, それをここに述べておきたいと思う. まず10月に1週間程度, Barchini氏, Kable氏, Zierau氏と議論するためにオクラホマ州立大学(米国)を訪れた. 本研究で新たに扱うことにした微分方程式系について研究連絡を行い, 関係していると思われる論文を教えていただけた.
次に10月の末から2週間程度, Oersted氏と議論するためにデンマークへ向かい, 本研究の推進に努めた.(本研究とOersted氏との関連については『現在までの進捗状況』を参照されたい.) デンマークに滞在中は何度も議論を交わし, 研究が大きく進んだ. 来年度もまたOersted氏の元を訪ね, さらに本研究を推し進めていく所存である.(『今後の研究の推進方策 等』を参照されたい.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『研究実績の概要』で少し触れた通り, 今年度は研究対象の微分方程式系を変更した. そのため, 研究計画書に記載した予定と現在の進捗状況を比べることが難しく, 研究の達成度としてどう考えるのが適切か考えたが, 微分方程式系を変更した後の研究の進み具合を踏まえ, 概ね順調に進展していると判断した.
さて当該年度に行った具体的な研究内容だが, まず昨年度の成果報告書「今後の推進方策」で述べた通り, 4 月から7 月まで, Oersted 氏が東京大学大学院数理科学研究科に滞在されており, この期間中に氏と本研究に関する議論を数多く重ねることができた. 議論を通して多くの発見があったが, 特に議論の中から新たな微分方程式系を考えついたことは本研究を推し進める上で非常に大きな進展となった. 便宜上この微分方程式系を本報告書では「Adjoint system」と呼ぶこととする. このAdjoint systemは当初考えていた微分方程式系よりも研究がし易いが, 考察を重ねるうちにさらにその解空間に構成される無限次元表現も当初構成を目指していたそれと同じくらい興味深いものであることが分かった. 計画通りに進まない場合の対応として, 扱う微分方程式系の変更を考えていたこともあり, そこで研究対象をAdjoint systemに変更することとした. 今後このAdjoint systemの研究を推し進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策だが, まずこれまでの研究成果を7月~8月くらいをめどにまとめ終える予定である. また8月から9月にかけて3週間ほどOersted氏の元を訪ね, 本研究をさらに推し進めていく.
ところで平成27年1月の末に, 東京大学大学院数理科学研究科で表現論に関するWinter schoolが開催されたが, この際, 新たに考察することとした微分方程式系であるAdjoint systemの解空間に構成される無限次元表現について, 講演者の方の一人と思いがけない接点があり, その方から本研究に関連すると思われる論文をいくつか教えていただいた. これらの論文を通して, 新たに考察している無限次元表現が表現論をリードする世界的な研究者の方々にとっても興味深い研究対象となっていること, そして最近「lifting」と呼ばれる抽象的な手法で研究されていることが分かった. 本研究で扱う手法は微分方程式系の解空間に無限次元表現を構成する, より具体的なもので, この「lifting」の理論とは全く異なる.
今後はこの「lifting」の手法との関連性や講演者の方から教えていただいた論文についても研究を進め, より多角的な視点から本研究に取り組む所存である.
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