2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cauchy problem for nonlinear dispersive equations and integrable systems
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26800070
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
加藤 孝盛 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50620639)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分散型方程式 / 初期値問題 / 非線形 / 可積分系 / 調和解析 / KdV方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題は, 非線形分散型方程式に対する初期値問題の適切性の解明である. 非線形分散型方程式は, 波が局在化せず空間全体に拡がるという分散性と波の集約によりある種の特異性をうむ非線形性という対立した性質をあわせもつため, 統一的な解析法は確立されていない. 非線形分散型方程式の研究は, 1990年代に開発されたFourier制限法やnormal form法により, 線形化方程式の解の性質と非線形項がもつ幾何学構造を同時に取り扱うことが可能になり急速に進展してきている. この過程で解の滑らかさや時間減衰を悪くする非線形相互作用は, 共鳴部分に集中することがわかってきた. そのため, 線形摂動の枠組みを外れた真の非線形性を取り扱うためには, 共鳴部分の解析が重要になる.
採択者は高い対称性を持つ可積分系の方程式の5次KdV方程式, 5次mKdV方程式を1次元トーラス上の適切性を解明することができた. その証明の中で鍵となったのは, 線形化方程式の解の摂動として捉えれない共鳴部分を具体的に記述し, 複数個の保存則を用いた非線形変換を用いることにより相殺できたことである. そして残りの非線形項は, normal form法を用いることにより, 線形の摂動として捉えれることができ, 時間局所適切性と無条件一意性を証明した. 非線形分散型方程式の解析の軸である調和解析的手法に可積分系が持つある種の代数的性質を上手く取り込めることができたことが本研究の最も独創的な部分である. またこの手法で得られた非線形評価は非常に精密であるため, 確率論的手法を組み合わせることで不変測度の構成することができた. これにより, 測度が零になる部分を除いて局所解を時間大域的に延長することができ, それと同時に解軌道の回帰性もいえるため, 力学系として特色も見出すことができた.
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