2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800073
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
牛越 惠理佳 玉川大学, 工学部, 助教 (20714041)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ストークス方程式 / アダマール変分公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,これまでに得たストークス方程式に対するアダマール変分公式の応用について考察することを目標として研究を行ってきた.具体的には,昨年度に考察したストークス方程式の多重度をもった固有値に対するアダマール変分公式を用いて,固有値の変分から領域の幾何学的特徴付けを目指した.以下ではその詳細について述べる. 上記に関連する既存の結果として,1970年代に得られた小沢真氏による結果が挙げられる.同論文においては,熱方程式のトレースの変分から,領域の形状が明らかにされている.これは,ラプラス方程式の固有値および固有関数の特性を巧みに用いて得られた結果である為に,ストークス方程式の場合には小沢真氏による手法をそのままに適用することはできない.そこで,本研究においてはストークス方程式の固有値が単純であるという制限のもと,固有値の変分と領域の形状の関係性を明らかにした宮川鉄朗氏の結果をもとに考察を行った.その結果,3次元有界領域において,ストークス方程式の固有値の変分がすべて0になるような領域は,トーラスに限るということが明らかになった.この研究成果により,ストークス方程式の多重度のある固有値の変分から領域の形状を特徴付けることに成功したということが出来る.この結果を,共同研究として論文にまとめ投稿した. ストークス方程式の場合,その固有値が単純になるような領域の存在は未だ明らかになっていない.そのため本研究においては,多重度をもった固有値に対して考察する必要性があった.その際,昨年度に考察したストークス方程式の多重度を持った固有値に対するアダマール変分公式の導入が鍵となる.これと,ベクトル値関数の性質を用いることにより今年度の目標であった,固有値の変分と領域の形状の特徴づけに関する結果を得ることに成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,これまでに得られた変分公式を用いた応用について考察し,一定の成果を得ることに成功した.具体的には,昨年度得たストークス方程式の多重度をもった固有値に対するアダマール変分公式を用いて,固有値の変分から領域の形状の幾何学的な特徴付けをすることが出来た.この結果は,変分公式導出の背景や意義について考察する結果であり、大変に意義深いということが出来る.
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は,ストークス方程式のアダマール変分公式の一般化およびその応用の双方について考察を行う.
|
Causes of Carryover |
応用偏微分方程式に関する書籍の購入に想定以上の時間を有したため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
同書籍購入のために使用する.
|
Research Products
(7 results)