2014 Fiscal Year Research-status Report
離散可積分系の超離散極限および有限体上での数理構造の研究
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26800075
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
間田 潤 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80396853)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 応用数学 / 可積分系 / セルオートマトン / 有限体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では,当該年度に周期箱玉系の相関関数について研究を行う予定だったが,もう一方のテーマであった離散可積分系の有限体上での考察において先に結果が得られた. これまで,有限体上において離散KdV方程式,離散パンルヴェ方程式を考察した結果として,1回の時間発展の結果を有限体上へ還元しても時間発展が破綻してしまうときには,2回,3回と時間発展を行うことを許し,その還元の結果がきちんと与えられるのであれば,それを有限体上での時間発展と定義するという Almost good reduction の考え方を提案した.ただ,この Almost good reduction の考え方は,有限体上に還元する前の離散方程式において,順番の近い解が互いに素であることに他ならないので,離散方程式の解について「互いに素条件」に注目して改めて考察を行った. 当該年度では,これまで研究してきた方程式の他に,離散戸田方程式について,境界条件の異なる半無限戸田,戸田分子,周期戸田の3つで考察を行い,すべてにおいて解が互いに素条件を満たしていることを示した.特に,周期境界条件を課した系において,互いに素条件が成り立つことを示した点は有益であると考える. この他に,これまで可積分系であるかの判定に用いられた特異点閉じ込め法と同じように,互いに素条件でも可積分判定ができることを示した.特異点閉じ込め法では判定できない可積分方程式の判別に互いに素条件が役立つかが今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画と異なり,周期箱玉系の相関関数についての研究よりも離散可積分系の有限体上での考察が先行してしまった点を除けば,全体的には順調に進展している.ただし,研究時間が予定よりも確保できていない部分があり,今後の研究に影響が出るのではと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
後回しにしていた,周期箱玉系の相関関数についての研究を進めていく.具体的には,行列を用いて周期箱玉系の相関関数を求めることを考え,その後,フーリエ級数を用いた母関数の導出を行い,両者を比較することにより,相関関数の理解を深めていく. 合わせて,離散可積分系の有限体上での考察から得られた互いに素条件を他の離散方程式にも適用するとともに,互いに素条件が可積分性の判定条件としてどれだけ有効かについても検証していく.
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Causes of Carryover |
物品については,パソコンをリプレースしようと思っていたが,タイミングを逃してしまったため,その分を使用することができなかった.また,旅費については,海外の学会・研究会に参加する予定であったが,日程が合わず見送ったため,予定よりも使用額が減ってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
重い計算を必要とする数値計算を行っているので,なるべく早い段階でパソコンをリプレースしたいと考えている.また,今年度も海外ならびに国内の学会・研究会に参加する予定がいくつかあるので,旅費として使用していきたい.
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Research Products
(4 results)