2016 Fiscal Year Research-status Report
離散可積分系の超離散極限および有限体上での数理構造の研究
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26800075
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
間田 潤 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80396853)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 応用数学 / 可積分系 / 離散系 / クラスター代数 / セルオートマトン / 数理医学 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限体上での離散系の時間発展における破綻をAlmost good reduction(何回かの時間発展後に還元を行う)の考えを導入することにより回避した.また,その考えが離散方程式の各項におけるローラン性(各項がローラン多項式である性質),既約性,co-primeness(一定距離離れた項が互いに素である性質)と見直せることから,離散KdV方程式(双線形,非線形)および離散戸田方程式(双線形)において,これらの性質を具体的に示した.なお,「特異点閉じ込めテスト」のような離散系における可積分性判断基準として,co-primenessが有用ではないかと考える. また,クラスター代数において,クラスターの変異を時間発展と考え,超離散化を行うとセルオートマトンを得ることができる.そこで,有限体上で行った考察と同じことをクラスター代数についても考察しているが,進行中の段階であり,具体的な結果を得るまでには至っていない.なお,先の話にはなるが,このような考察を通して,クラスター代数と離散可積分系との関係性を明らかにしていきたいと考えている. この他,離散系の手法を用いて,血管の成長(血管新生)で観察される内皮細胞の運動について考察を行い,内皮細胞の運動を定性的に表す数理モデルを得ることができた.実験の精度や技術が向上していることから,より詳しい運動のデータが得られているので,より実際の現象に近い数理モデルの構築を目指し,現在も研究を遂行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有限体上の離散可積分系の研究で進展が見られたこと,その後もクラスター代数における研究に発展したこと,さらに離散系の手法の数理医学への応用が見いだされたことにより,最初に行う予定であった周期箱玉系の相関関数についての研究が進展できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
周期箱玉系の相関関数についても研究を進めていく.具体的には,まず行列を用いて周期箱玉系の相関関数を求め,その後にフーリエ級数を用いた母関数の導出を行い,両者の比較から相関関数について理解を深めていく. 加えて,現在進行しているクラスター代数における研究と数理医学での血管新生の数理モデル化についての研究についても進展させていく.
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Causes of Carryover |
有限体上の離散可積分系の研究で進展が見られたことにより予定よりも遅れが出てしまったほか,クラスター代数における研究への発展,離散系の手法の数理医学への応用という新たな課題が見つかり,計画内容の進捗に大きな影響が出てしまったため,考えていたパソコンのリプレースや成果発表のための出張での予算使用が滞ってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していたパソコンのリプレースや成果発表のための出張に使用していくほか,自身でも研究会を開催して,成果の公開や関係する研究の情報交換を行いたいと考えている.
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Research Products
(2 results)