2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800078
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90585803)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高次元統計解析 / 高次元PCA / 高次元二標本検定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の土台となる平成26年度の研究「高次元PCAを用いた漸近理論の構築」とより応用を意識した平成27年度の研究「高次元判別分析における最適性指標の構築」を踏まえて,研究課題「高次元PCAを用いた統計的推測法の考案」に取り組み,高次元PCAと高次元統計解析を融合し,頑健かつ高精度な検定法を提案した. まず,研究「高次元判別分析における最適性指標の構築」により,最適性指標がノイズのスパイク度に大きく依存することを突き止め,ノイズに対する2つの固有値モデル「Strongly spiked eigenvalue (SSE) モデル」と「Non-strongly spiked eigenvalue (NSSE) モデル」を提唱した.NSSEモデルのもとでは各種統計量の高次元漸近正規性が主張できるが,より巨大なノイズを含むSSEモデルにおいてはそれら漸近正規性が主張できず,推測の精度保証が困難であった.そこで,研究「高次元PCAを用いた漸近理論の構築」で導出した固有空間に関する精密な漸近理論と高次元統計解析法を融合し,新たな統計的推測法を考案した.具体的には,まず,Yata and Aoshima (2012, JMVA)で提案した高次元PCA手法であるノイズ掃き出し法を用いて,スパイクノイズを精密に推定する.さらに,そのノイズ空間を避けるようにデータを変換することで,データに内在するノイズ構造をSSEモデルからNSSEモデルに縮小する.このデータ変換法とChen and Qin (2010,AS)やAoshima and Yata (2011, SA)で与えられた高次元二標本検定法を融合し,SSEモデルのもとでも高精度な新しい検定法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎となる高次元PCAを用いた漸近理論を構築し,本研究の土台を固めた.さらに,応用を意識した高次元判別分析と高次元パスウェイ解析の新たな推測理論も構築した.その上,高次元PCAを用いた統計的推測法を考案していることが,本研究が計画以上に進展している理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度から28年度までの研究を踏まえて,「高次元クラスター分析における理論と方法論の構築」と「高次元PCAを用いた判別分析法の構築」を推進する. まず,「高次元クラスター分析における理論と方法論の構築」は,昨年度も研究目的としており,クラスター構造を顕にする潜在空間を抽出する手法まで構築できている.この手法とYata and Aoshima (2010,JMVA)で提案したクロスデータ行列法と組み合わせ,高精度で頑健なクラスター分析手法を考案し,ゲノムデータや異常値検出に応用する.次に,「高次元PCAを用いた判別分析法の構築」は,Aoshima and Yata (2014,AISM)で提案したユークリッド距離に基づく高次元判別分析法と平成28年度の研究で得たノイズ掃き出し法によるデータ変換法を融合させ,SSEモデルのもとでも高精度な判別分析法を構築する.
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