2014 Fiscal Year Research-status Report
ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の数値解析とその展開
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26800079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 張 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (00452409)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式 / 確率制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式を含む一般の非線形放物型偏微分方程式に対し、メッシュフリー補間法による数値解法の開発・研究を行った。既存研究では、線形の場合や1階のハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の場合に数値解法を導出し、数値的にのみ収束を確認していたが、本研究では、より一般の場合に適用可能なメッシュフリー補間法を導出し、数学的に厳密に収束を証明した。より詳細には、方程式が非線形放物型方程式の場合には解の滑らかさが期待できないこともあり、厳密な収束証明が試みられることもなかったが、本研究は一般の非線形放物型偏微分方程式に対するゲーム論的接近に着目し、非線形項の近似的なsup-inf表現を求めることにより、粘性解の枠組みでの証明を実現したものである。以上の成果を一編の論文としてまとめ、現在学術雑誌に投稿中である。
本研究で示した定理は、非線形放物型偏微分方程式に対するメッシュフリー補間法の収束を証明した初めてのものであり、この文脈における数学的基礎を与えるものと位置づけられる。このことにより、ファイナンスにおける最適化問題やロボット等の確率制御問題に対してメッシュフリー補間法を用いることの数学的妥当性が担保されることになる。また、本研究の成果により、これらの応用分野においてメッシュフリー補間法の使用が喚起され、この手法が持つ実装の容易さや高次元問題への適用のしやすさ等の利点を活かした実際的な研究開発の促進が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書において、本年度は非線形放物型偏微分方程式に対して、申請者の提案する数値解法の収束証明を目的としていた。「研究実績の概要」で述べたように、本年度の研究ではこの収束証明を実現しており、目的を十分達成したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により、決定論的な偏微分方程式(PDE)に対するメッシュフリー法の収束証明のための技術が確立されたといえる。今後は、この技術を応用して、楕円型のハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式や擬変分不等式など、確率制御問題に付随する非線形PDEに対してメッシュフリー法を適用し、収束証明を試みる。 また、フィルタリング問題において現れるZakai方程式などの確率偏微分方程式(SPDE)に対してもメッシュフリー法を適用する。SPDEについてはメッシュフリー法の先行研究が無く、適用・収束証明ともに初めての試みとなる。決定論的PDEとは異なり、SPDEについては粘性解の概念が十分整備されてはいないので、まずは、ソボレフ空間の理論と解の滑らかさを利用して収束証明のための研究を進める。
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Research Products
(7 results)