2015 Fiscal Year Research-status Report
デザイン理論によるエネルギー最小化構造の総合的研究
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26800082
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田上 真 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50380671)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユークリッドデザイン / アソシエーションスキーム / 球デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は2014年度の研究成果の一つであるエネルギー最小化構造を求めるプログラムの応用について研究を行った。特に東京大学の藤田誠氏、藤田大士氏らによる「セレノフェン配位子を用いた巨大MnL2n錯体の自己集合」の研究において得られたunexpected 構造が数学的にはDeza-Dutourらにより研究された「Goldberg-Coxeter construction(GCC)を正八面体に適応して得られる構造の類」になっていることを藤田大士氏との議論により発見した。また彼らのexpected 構造の類に対しても数学的にDeza-Dutourらの研究のある種の一般化によって説明することのできる構造であることを発見した。またこの構造の一般化により、化学に現れる新しい幾何構造の予想を行うことができることが分かった。また前年度のプログラムの応用として、結合された頂点間が等距離であるという条件の下、正8面体にGCCを適用してできる無限系列で球面に実現できるものの中で、彼らが合成した新しい幾何構造は球面1-デザインだけでなく、2-デザインとなるものと対応していることが観察された。 また研究成果発表の実績としては、2015年12月に名古屋大学で開かれた国際会議「International workshop on topology/geometry-driven Electron Systems」でMackay結晶の群論的観点からの研究の成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究成果の一つである、「頂点数、頂点の乗っている同心球の半径達、およびポテンシャル関数を与えた時に、ポテンシャルエネルギーを最小にする構造を近似的に求めるプログラム」を実際に化学で行われている研究に応用することができたことは一つの比較的大きな成果だと思う。また数学の材料科学への応用についての研究成果を材料科学者、化学者、物理学者の集まる国際会議で発表できたことは今後研究を推し進めるうえで重要な成果だと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の所、前年度に計画していた研究である「抽象的グラフ構造を与えてから、そのユークリッド空間への埋め込みでエネルギー最小になるものの決定問題」は解けていないので、この研究をさらに進めていた行きたい。またグラフのエネルギーについての情報収集は行ったものの、そのユークリッド空間への埋め込んだ構造のエネルギーとの関連もまだ分かっていないので、この部分の解明をさらに推し進めていきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
今年度は主に論文執筆を行わず、研究のみを行っていたので、論文投稿費、論文添削費などが生じず、当該計画よりも23129円の余剰金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を用いて、書籍、論文購読、コンピュータ、およびソフトウェアなどを購入する。また代数的組合せ論シンポジウム、日韓ワークショップAlgebra and Combinatoricsに参加する為の旅費に使用する。また、国内・国際会議や学術論文誌での発表を行う必要があるので、そのために必要となる論文投稿費、論文添削費などに使用する。
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Research Products
(3 results)