2015 Fiscal Year Research-status Report
生物の集合形成メカニズムに対する数理モデルからの探求
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26800084
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
出原 浩史 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50515096)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パターン形成 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生物の集合形成メカニズムに対して、数理モデルの観点から解明することを目的としている。生物の集合形成メカニズムには様々な形態があるが、本研究では化学物質をシグナルとして用いて集合を形成する現象について研究を行っている。このような集合形態は大腸菌などのバクテリアや細胞性粘菌などに見られている。このような現象を記述するモデルとして、走化性方程式と呼ばれる数理モデルが提唱されている。本年度は走化性方程式に現れる時空間集合パターンについて研究を行った。走化性方程式は様々な観点から研究されているが、複雑な時間的・空間的パターン形成問題を含んでおり、未だに解明されていないことが多い。そのため、それらの解明は生物の集合形成への数理モデルからの示唆を与えることができることから重要であると考えている。特に、集合パターンは走化性方程式の定常問題に密接に関係しており、その定常解の大域構造を調べることによって、時空間集合パターンとの関係を明らかにできると考えられる。本年度は、3次の増殖項をもつ走化性方程式に対する1次元定常問題を考察し、走化性方程式に現れるパターン形成について研究を行った。個体群密度の移動効果が大きいような場合では、方程式を縮約することができ、それによって解析が比較的容易になる。その縮約方程式の理論解析及びシミュレーション解析により、ある状況においては3次の増殖項をもつ走化性方程式のパターンは2次のロジスティク増殖項をもつ走化性方程式と類似したものをもつことが分かった。一方で、その他の状況においては両者の解は全く異なる振る舞いをすることが分かった。この研究成果は学会等で報告し、現在論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、数理モデルの解析に困難な点が見つかった。そのため別の視点であるパターン形成問題の観点から研究を進めており、こちらは順調に成果を挙げることができており、学会での成果発表や論文作成も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り走化性方程式のパターン形成問題の観点から研究を進めるとともに、それと平行して当初の計画における数理解析の困難な点を克服したいと考えている。これまでの類似の研究を再度精査し、対応策を練り直すことを考えている。
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Causes of Carryover |
1年目に高速のワークステーションの購入を計画していたが、交付決定額が少なく断念した。そのため使用額に若干の余裕があり、2年目の旅費などに使用したが、それでも余った金額を次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の最終年度ということもあり、研究成果を国際研究集会で発表する予定であり、そのための旅費として使用する予定である。
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