2014 Fiscal Year Research-status Report
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26800085
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤沢 潤 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (00516099)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフ / 位相幾何学的グラフ理論 / マッチング / 因子問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、射影平面の三角形分割(3-連結3-正則射影平面グラフの双対)における1-因子(完全マッチング)についての成果が得られた。
頂点数が2m+2以上の偶数であるグラフGにおいて「m本からなる辺の集合Mで、どの2辺も距離がd以上離れているようなもの」をどのように選んでもMを含むような完全マッチングが存在する時、Gはdistance d m-extendableであると言う。AldredとPlummerによる数篇の論文に端を発し、「どのような閉曲面の」任意の5-連結三角形分割が「どのような(d,m)に対して」distance d m-extendableになるか、という研究が近年なされてきた。本研究の開始前には、射影平面においてdが3と5の場合にのみこの問題は解決されていたが、今年度の研究によって射影平面における全ての場合が解決された。既に解決されていた平面の三角形分割の結果と合わせると興味深い知見が得られ、またトーラス・クラインボトルなど他の閉曲面での問題に対する見通しも得られた。
また本年度の研究では、平面の三角形分割からいくつかの距離が離れた頂点を取り除いたグラフにおける完全マッチングの存在に関しても知見が得られた。この問題は先に述べたマッチング拡張問題の一般化である。この結果によって、自明な条件を除けば、平面の三角形分割において部分グラフをいくつ取り除いても、それらの距離が十分離れている限り残されたグラフが完全マッチングを持つのではないか、という興味深い研究課題が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AldredとPlummerによって提起された問題が射影平面において完全に解決されたことは一定の成果である。他の閉曲面における同様の問題への見通しが立ったことや、関連する話題に関しての新たな問題も得られ、今後の研究がさらに広がっていくことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した、部分グラフを取り除いたグラフでの完全マッチングの存在問題は非常に興味深く、力を入れて取り組みたい。また、禁止部分構造を用いた因子問題の解明に関してはあまりよい成果が得られていないため、様々な角度からアプローチすることで成果を上げたい。
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Causes of Carryover |
全日参加予定であった研究集会への参加が事情により部分参加となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外の研究者と積極的に情報収集・交換や研究討論を行い、得られた知見を本研究の推進に生かす。特に、本年度得られた成果を国外で発表し、今後の研究の展開につなげたい。
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Research Products
(5 results)