2015 Fiscal Year Research-status Report
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26800085
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤沢 潤 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (00516099)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフ / 位相幾何学的グラフ理論 / マッチング / 因子問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では多方面に進展が得られた。その中で、特に平面の三角形分割に近い5-連結グラフにおけるマッチング拡張性について興味深い結果が得られた。
5-連結な平面グラフにおいて、どの2辺からなるマッチングも完全マッチングに拡張できることは1990年代初頭に知られていた。一方、2000年代半ばからの研究で、平面の5-連結三角形分割において、拡張する辺同士の距離が離れている場合にはもっと多くの辺からなるマッチングを完全マッチングに拡張できることが解明されている。このことから、5-連結平面グラフで三角形でない面の数が少ないものがどのようなマッチング拡張性を持つか、という問題が自然に得られる。三角形でない面が3つ以上ある場合は一般の5-連結グラフとのマッチング拡張性の差異がないことが得られているため、三角形でない面が2つ以下の場合が本質的な研究対象となる。この場合において本研究では、他の研究グループの先行研究では得られていなかった、マッチング拡張性に関する最善の値を導くことに成功した。この証明手法は、三角形でない面がちょうど1つである場合にも拡張可能である感触を得ており、今後のさらなる研究の進展が期待される。
その他マッチング理論に関しては、三角形でない面の数が少ない平面グラフからいくつかのマッチングを除いたグラフにおける完全マッチングの存在や、局所連結度の高いグラフにおける距離条件を用いたマッチング拡張性についての研究成果が得られた。また、2つの禁止部分グラフの族が誘導するグラフの族の差についての研究や、クローフリーグラフのハミルトン性についての研究など、多角的に研究成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マッチング拡張性に関して多角的な研究成果が得られており、それらは数編の論文に纏めるに値するものとなっている。また同時に、本研究によって今後取り組むべき研究課題が多く見い出され、研究の広がりも見せている。したがって、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題は多く得られているので、その中で取り組むに値する問題をうまく取捨選択することが重要となる。また、未だ研究成果に結びついていないいくつかの萌芽的な知見について、それらを一定の成果に結びつけるよう尽力したい。
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Causes of Carryover |
海外出張における航空券代が想定していたものと比べて安価となったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究情報の収集のための追加費用として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)