2015 Fiscal Year Research-status Report
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26800093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大栗 真宗 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60598572)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重力レンズ / 銀河団 / 観測的宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
HSCサーベイが進みデータが出つつあるので、サーベイデータのチェックおよび関連する理論研究をすすめた。密度揺らぎを測る相補的な方法として強い重力レンズがあり、HSCサーベイでも多くの発見が期待されるが、現存のサーベイを用いた研究成果をいつくか出し論文を出版できた。特に超新星重力レンズSN Refsdalの出現予測とその実際の発見は、現在の重力レンズ観測からダークマター分布を推定する手法の正確さと妥当さをこれまでと全く違う角度から検証できた点で画期的である。HSCサーベイデータの解析に関連するさまざまな理論研究も行った。また特筆すべきはHSCカメラ試験中に得られた2.3平方度のHSC画像の弱い重力レンズ解析を行い、質量マップのピークを8つ検出できたことである。これらピークは可視データの解析から実際に重い銀河団に対応していることがわかった。この結果は近傍宇宙の密度揺らぎがかなり大きいことを示唆しており非常に興味深いがまだ視野が狭く断定的なことはいえない。しかしながらHSCの撮像データを用いた弱い重力レンズ解析が可能であることが実証できたこと、わずか数時間の試験観測でこれだけの成果が得られたことは重要であり、次年度以降の研究に弾みがつく結果である。HSCのデータに慣れその質をチェックするさまざまな研究を精力的に行ったがこれらを応用して実際にサーベイデータから科学的成果を得て出版するのは次年度以降になる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、HSCサーベイ解析の予備研究の成果を数多く出版できた。HSCサーベイも順調にすすんでおり観測データが取得されている。まだ論文にはなっていないがサーベイデータの理解、予備解析も今年度中に大幅な進展があった。特に可視多色データを用いた銀河団の同定、弱い重力レンズの解析はいろいろなチェックと試行錯誤の結果、論文のクオリティに近いところまで解析がすすんでおり、次年度にはHSCサーベイの初期解析結果の論文を多く投稿できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べたとおり、HSCサーベイデータの解析は順調にすすんでおり成果はどんどん出てきている。次年度はこれら得られたデータを論文にまとめていく作業になる。HSCサーベイ解釈のためのシミュレーション研究もすすめており、この結果も次年度に論文にまとめたい。
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Causes of Carryover |
HSCサーベイデータの本格的な解析が次年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ハードディスクの購入や研究打ち合わせのための旅費。
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Research Products
(22 results)