2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800101
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 和也 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (60622454)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 矮小銀河 / スターバースト / 銀河進化 / 可視光 / 面分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近傍宇宙の星質量が小さく、激しい星形成を行っている銀河をサーベイデータから探し、その銀河を広視野可視光面分光観測を行って、矮小銀河の星形成の様子を明らかにすることである。 2014年度にサーベイアーカイブデータから、面分光観測のターゲットとなる、激しく星形成を行っている小星質量・低金属量の銀河を選出した。より特徴的で観測の行いやすい天体を選ぶために、観測天体数が多くてサーベイ領域が深い、スローンデジタルサーベイ(SDSS)の分光観測データアーカイブから選出した。一般的にHβ輝線等価幅が非常に大きい銀河は、小星質量・低金属量である傾向が知られているため、SDSSアーカイブデータ内で特にHβ輝線等価幅が大きい銀河を観測候補天体として抽出した。SDSSデータアーカイブで観測候補天体の明るさや輝線強度比から星質量と金属量を見積もると、選ばれた天体はどれも確かに小星質量・低金属量であることが確認された。そこからさらに、天体の見かけの大きさが面分光観測に適した天体に限定することで、約30天体の面分光観測ターゲットを選出した。 2014年12月の可視光面分光装置KOOLS-IFUの試験観測で、選出されたターゲット天体を試験的に観測した。試験のため短い積分時間であったが、天体からの光を検出することができた。また観測データに明らかな不具合などは見られなかった。得られた観測データの解析を行い、波長校正や輻射強度校正などが適切に行えることを確認した。得られた観測データから、数時間程度の積分時間で必要なS/Nのデータが取得できると見込まれる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の研究計画は、激しく星形成を行っている矮小銀河を、SDSS観測データから選出することであった。計画の通り、SDSSアーカイブデータからHβ輝線等価幅が大きい天体を選ぶことで、予想通り星形成率が高くて、小星質量・低金属量のターゲットが得られた。観測候補天体が約30天体あり、今後行う面分光観測により適した天体を選ぶことができる。よって、研究計画はおおむね順調に進んでいる。 2015年度以降にKOOLS-IFUで激しく星形成を行っている矮小銀河を観測する計画となっている。当初の計画には無かったものの、KOOLS-IFU試験の一環として、KOOLS-IFUでターゲット天体を試験的に観測した。その観測データを解析し、データを問題なく取得できることを確認した。よって、KOOLS-IFUによる激しく星形成を行っている矮小銀河の観測を行う準備が整ったと考えられ、研究は順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度以降の計画は、激しく星形成を行っている矮小銀河をKOOLS-IFUで可視光面分光観測を行い、さらに他波長の観測データを加えて、この銀河で起こっている星形成の様子を明らかにすることである。 選出した激しく星形成を行っている矮小銀河をKOOLS-IFUで観測を行うために、国立天文台 岡山天体物理観測所に観測プロポーザルを提出する。観測プロポーザルは、研究協力者と意見交換をしながら作成する。観測プロポーザルが採択されれば、ターゲット天体をKOOLS-IFUで観測する。取得した観測データの解析を行い、激しく星形成を行っている矮小銀河の電離ガスの物理状態を調べ、星形成の様子を調べる。 激しく星形成を行っている矮小銀河に関する、他の観測装置によるデータアーカイブを利用して、ターゲット銀河の物理状態を調べる。具体的には、SDSS可視光画像、近赤外線全天サーベイデータ2MASS画像により、各銀河の星の分布が詳細に分かる。また、紫外線宇宙望遠鏡GALEXによる紫外線画像と可視光画像とを組み合わせることで、星形成領域に関する情報が得られ、また高赤方偏移の銀河と比較する上で重要な観測量となる。 得られた観測結果を論文にまとめて公表する。論文執筆は研究協力者と相談しながら行う。
|
Causes of Carryover |
研究打ち合わせのための旅費を申請していたが、研究協力者と予定が合わず、打ち合わせを行うことができなかったため、旅費を使うことができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品として、KOOLS-IFU観測デ-タ解析用パソコンを購入予定である。研究打ち合わせと研究発表のための旅費を計上している。また、論文出版のための経費も計上している。研究打ち合わせに使う予定だった旅費は、2015年度の研究打ち合わせのための旅費と、研究をより効率的に行うための物品(観測データ解析用パソコンなど)の費用に充てることを考えている。
|