2015 Fiscal Year Annual Research Report
螺旋運動する中性水素原子ガスおよび銀河磁場の観測的研究
Project/Area Number |
26800104
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中西 裕之 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90419846)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 銀河系 / 宇宙磁場 / 中性水素原子ガス / 電波天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は銀河ダイナモによる銀河磁場の増幅機構を検証することであり、銀河ダイナモによって生じると予想される磁気浮上ループについて観測的かつ定量的な調査を行った。 2年目であるH27年度の目標は(1)宇宙科学研究所臼田宇宙空間観測所64m電波望遠鏡を用いた観測によりHI(中性水素原子)ガスの高い速度分解能スペクトルを得ること、(2)磁気流体シミュレーションとの比較を行い銀河ダイナモ仮説を検証すること、の2点であった。 まず目標(1)に関して、これまで使われてきた高速フーリエ変換(FFT)ソフトを改良し、0.1km/sの速度分解能でHIスペクトルが得られるようになった。さらにデータの強度較正を行うためノイズソースの等価温度を測定し、観測システムの評価を行うためアンテナ駆動パラメータ、受信機雑音温度、システム雑音温度、ビームパターン、アンテナ能率の測定を行った。 次に目標(2)に関して、オーストラリアParkes 64m 望遠鏡で得られたHIガスの全天サーベイGASS(Galactic All Sky Survey) データを用いて、銀河系中心からの距離8-20kpcの銀河系外縁部においてHIループの発生頻度を調べたところ、1平方kpcあたり0.7個程度であると見積もられた。一方、Machida et al. (200)による磁気流体シミュレーションでは銀河系中心距離2kpcの範囲でHIループが約400個見つかっていること、発生頻度は回転角速度に比例することを考えると、観測とほぼ同程度であることがわかった。 銀経280度に見られる顕著なHIループについて詳細に調べたところ、HIガスの形状、ガス圧・磁気圧などの物理量、位置-速度図から読み取られる運動から磁気浮上ループで説明できることがわかり、ループの発生頻度から銀河磁場は銀河ダイナモ仮説でよく説明できることがわかった。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] 螺旋運動するHIガス雲の観測的研究2015
Author(s)
H. Nakanishi, N. McClure-Griffiths, C. Saita, & M. Machida
Organizer
第18 回九州地区宇宙物理学合同セミナー
Place of Presentation
九州地区国立大学九重共同研修所(大分県玖珠郡九重町)
Year and Date
2015-09-03 – 2015-09-03