2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26800111
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
神鳥 亮 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 研究支援員 (90534636)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 赤外線天文学 / ダスト / 偏光 / 磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、恒星の母体である分子雲コア(高密度なガスと塵の塊)を取り巻く星間磁場の構造を明らかにすることを目的としている。最終年度は、健康上の理由のため、研究代表者本人が南アフリカに渡航して観測を遂行することができなかった。そのため、別途渡航する他の研究者への観測依頼などを除いては、主にデータ解析に専念し、過去に観測した分子雲コアのデータの大規模処理を進めた。 解析領域は、分子雲コアの磁場構造の観測データでは、孤立したコア(ボック・グロビュール)、銀河中心方向に存在するパイプ星雲領域の分子雲コアに加えて、へびつかい座領域における高密度コアの密集領域である。へびつかい座ρ分子雲領域の分子雲コア観測(2015年度に論文を出版)では、内部で6ヶ所に分かれている高密度コア領域(Av>50 mag)の場所に応じて、異なる磁場の向きが得られた。コア群の磁場構造はゆるやかに繋がりながら、分子雲をカバーするように全体として歪んだカーブを描いていることがわかった。これはこの領域で進んでいるクラスター形成過程の影響によるものかもしれない。 グロビュールとパイプ星雲コア領域では、20天体のデータから、軸対称型に歪んだ磁場構造を伴うコア3天体(原始星付随1、付随無し2)を発見した。歪んだ磁場を伴う星なしコアは、星形成直前のサンプルとして重要である。また、全てのコアにおいて、ダスト吸収量(Av)と偏光度(P)とが比例関係(偏光効率=一定)にあるという重要な結果を得た。この結果は、近年いくつかの論文において強調される「分子雲コア深部における偏光効率の低下傾向」の観測結果と一致しない。ダスト吸収と偏光との相関関係は、冷たく高密度なコア内部におけるダスト粒子の磁場への整列機構の理論(特に輻射トルクによるダスト整列機構)を制限するために決定的に重要であるため、これらのデータの出版準備を急いでいる。
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Research Products
(1 results)