2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800115
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
仙洞田 雄一 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (80606111)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 重力理論 / 重力波 / 宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は修正重力理論における重力波を直接的ないし間接的に観測するための基礎理論の構築に注力した。 本研究課題で考察の対象とする重力理論(Einstein-Weyl重力理論)においては、一般相対性理論が予言する零質量の重力波のみならず質量を持つ重力波として振舞う動的な自由度が存在し、それらの重ね合わせが総体として計量場の揺らぎを与える。このうち有質量の重力波については、物質といかに相互作用し装置等による検出が可能になるか、また波動としてどのような性質のエネルギーを運搬し宇宙膨張等に影響を及ぼすかが知られておらず、関心を寄せる修正重力理論の観測的検証のためにはまずそれらを明らかにすることが必須である。たとえば一般相対性理論では重力波の振幅(パワースペクトル)とエネルギー密度を結びつける公式が存在し、それらの観測可能と目される二つの物理量がほぼ同一視されるが、修正重力理論では運動方程式が異なるため同じ公式が適用できない。とくに、有質量重力波のエネルギー密度については妥当な定義自体が知られていない。 そこで、いくつかの手法によって有質量重力波のエネルギー密度を定義することを試みた。具体的には、Noetherの保存電荷を構成する方法、ハミルトニアンを構成する方法、重力場方程式に計量摂動の2次で現れる反作用項を見る方法などである。これら複数の方法によって定義できる量の表式が全微分項を除いてお互いに一致することを見出し、かつ平均操作等を行なうことによって全微分項の寄与が消えることが見られたため、エネルギー密度と捉えるべき物理量の妥当な定義が得られたと考えている。この成果については部分的に日本物理学会2014年秋季大会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の最終的な目標である修正重力理論の検証に向け、必要とされる基本的な観測可能量の定式化を進めることができているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究対象とする重力理論における特徴的な重力波を直接検出する方法を検討し、また物質との相互作用を通じて他の観測可能量を誘起する可能性、とくに宇宙背景放射などへの影響を調べていく。
|
Causes of Carryover |
当初の研究計画に基く海外出張を行なった際に現地での滞在費については支出を要しないことになったために残金が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に共同研究者を招聘することに用い、研究計画のより迅速な遂行に役立てることを計画している。
|
Research Products
(1 results)