2014 Fiscal Year Research-status Report
Planck時代におけるインフレーション模型およびその再加熱過程の精査
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26800121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 和則 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90596652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 初期宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.2014年3月に、BICEP2実験により宇宙背景放射のBモード偏光の観測が報告された。これを受けて、観測された強度のBモードを説明すようなインフレーション模型を構築した。標準模型のヒッグス場、超対称模型の右巻きスカラーニュートリノをインフラトンと童貞することができることを示した。また、Z2対称性を持った、摂動的に安定なスカラー場が初期宇宙のインフレーションを引き起こし、かつインフラトン自身が現在の暗黒物質となるような模型を提案した。 2.宇宙の原始密度揺らぎを説明する有力な模型の一つであるカーバトン模型のダイナミクスを詳細に解析し、高温プラズマ中での崩壊・散逸過程を明らかにした。また、カーバトン模型における密度揺らぎの非ガウス性の大きさを再解析し、従来考えられていたよりも大幅に非ガウス性を抑制できることを示した。 3.Peccei-Quinn対称性がインフレーション後に破れる場合のPeccei-Quinn場のダイナミクスを解析し、熱浴との相互作用によってアクシオン暗黒輻射の過剰生成問題を回避できることを示した。 4.インフラトン振動期における、重力的相互作用による粒子生成の効果を評価し、重い暗黒物質の生成機構として有望であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
BICEP2実験がBモード偏光を観測し、高エネルギースケールのインフレーションが実証されたということで大きな話題を呼び、大きな話題を呼んだ。これはまさに当研究課題の中心を担う観測結果であり、これに関連して数本の論文を執筆した。その後、Planck衛星によって否定的な観測結果が得られたものの、理論的には高エネルギースケールインフレーション模型の研究において予想を遥かに上回る進展があったといえる。 また、当初からの目的でもある、スカラー場の熱浴中でのダイナミクスの研究にも着実な進展があり、カーバトン模型やアクシオン模型における現象論的な応用を研究する段階に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
Planck衛星の観測により、高エネルギースケールインフレーション模型はむしろ制限される形となった。しかし依然、多項式カオティックインフレーションを始めとする多くの模型は観測可能なBモードを予言する。今後の方向性の一つは、観測可能な程度に大きいBモードを予言する模型を精査することである。その上で、有限温度中でのスカラー場のダイナミクスの知識が必要になることが予想されるので、合わせて基礎的なスカラー場のダイナミクスの研究にも力を入れたい。
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Causes of Carryover |
論文執筆・打ち合わせその他の諸事情により、2~3月に参加予定であった研究会への出席を断念したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究会参加のための旅費として使用したい。
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Research Products
(19 results)